韓国でも北朝鮮でも広く歌われている「3匹のクマ」という童謡がある。2004年に韓国のKBSで放送されたドラマ「フルハウス」で、ヒロインのソン・ヘギョが歌っていた。

ドラマ「フルハウス」のVCD(映像を録画したCD)は北朝鮮に流れ込み、「3匹のクマ」は歌いやすい歌詞とわかりやすいメロディーで広く知られるようになった。ソン・ヘギョは、2003年に韓国SBSで放送されて北朝鮮でも人気になったドラマ「オール・イン」のヒロインを務めていたこともあり、さらに人気を呼んだ。しかし、この童謡が歌えなくなっていると平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋が伝えてきた。

3匹のクマとは誰のこと?

情報筋によると「最近、北朝鮮当局は3匹のクマを『不純曲』として歌うことを禁止した。理由は『3匹のクマ』の歌詞が問題視された」という。問題となった「3匹のクマ」はどのような歌詞なのか。

3匹のクマが一つ屋根の下にいる
お父さんクマ お母さんクマ 赤ちゃんクマ
お父さんはデブ
お母さんはスラリ
赤ちゃんはかわいい
すくすく育つ

小中学生を指導する金日成社会主義青年同盟(青年同盟)は「(3匹のクマは)金日成主席、金正日総書記、金正恩第一書記の『3大首領』を暗に風刺する南朝鮮(韓国)の童謡だから禁止する」としていると情報筋は語る。

「3匹のクマ」は、過去にも替え歌で歌われたことがあるが、三代世襲を辛辣に批判する歌詞だった。

青年同盟の責任指導員は、教室で抜き打ちの持ち物検査を行い、音楽帳やUSBの検査を行っている。「3匹のクマ」やK-POPのファイルが見つかれば「不純曲流布の首謀者」とされ、厳しい自己批判を強いられる。

また、お楽しみ会やトランプ遊びをしているいる時に「3匹のクマ」を歌い摘発されたケース、鼻歌で「3匹のクマ」を歌っていて摘発されたケースなど、情報筋は様々な摘発事例を紹介しつつも「生徒たちは取り締まりなど気にせずに歌っている」としている。

「3匹のクマ」のみならず、北朝鮮の10代にとって、韓国の音楽はもはやなくてはならないものだ。北朝鮮の歌は公式の行事の時だけに歌うものであり、プライベートでは韓国の歌を歌う。

中には携帯電話の着メロを1985年の韓国の大ヒット曲「岩の島」にしている若者もいるという。ちなみにこの曲、歌詞は1980年の光州事件を隠喩しており、体制を暗に批判しているが、当の北朝鮮の若者もさすがにそこまでは知らないだろう。

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