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3. 金正日との「運命共同体」 – 側近に対する超豪華「善心政治」

金正日は側近を抜擢すると同時に、一度抜擢した側近が自分に忠誠を尽くし続けるように、幹部の間の忠誠競争と互いのけん制をあおった。

忠誠競争を目的とした金正日の側近政治で重要なものが、「善心政治」と呼ばれるものだ。代表的な事例が非公式の宴会である。側近の宴会は、元々金正日が後継者に内定した前後に、幹部たちを自分の見方にするために考案した方法だったが、後継者に内定した後は、主に側近を管理して密室政治を実現するために利用された。

側近に対する「善心政治」では、様々な贈り物を提供するやり方も取られた。書記室や金正日の機密費を担当する39号室や対南工作部署、海外の公館を通じて日本やヨーロッパ、東南アジア等から購入して来る色々な製品が、宴会や金正日の誕生日に側近たちに贈り物として提供された。

1990年代初めまで、側近たちは分野別に割り当てられたアパートで、側近ではない幹部たちと一緒に生活していたが、この過程で側近たちが宴会に参加して贈り物をもらっていることが同じアパートに住む側近ではない幹部たちに知られるようになると違和感が生じたため、1994年頃に側近の幹部だけが住むことができる最高級の住宅団地が別に建設された。

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多様な形態の善心政治により、側近はもちろん、家族や後の世代も忠誠心を持つようになったが、それ以外にも様々な効果をおさめている。特に、側近たちの豊かな生活が一般の人に知られるようになって住民の不満や憎悪が生じると、側近たちは逆に、体制崩壊は自分たちの破滅を意味するという被害意識を持つようになり、金正日との「運命共同体」という意識が誘発され、体制を擁護するために必死にならざるを得なくなった。

4. 「永遠の側近も永遠の非側近もいない」 – 「忠誠心」極大化戦略

幹部たちが「永遠の側近も、永遠の非側近もいない」という認識を抱くようになり、持続的な忠誠競争と相互のけん制が続いているが、これこそが金正日の側近政治に見られる代表的な管理手法と思われる。

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「永遠の側近はいない」という事実を見せてくれた事例は、金正日の大学の同窓生で入党保証人だったリ・ドンホが、一言誤ったために処刑された事件や、「最長寿の側近」と言われていたキム・シハクが組職指導部の権威に挑戦したという理由で問責されて、側近からおいやられた事件、金正日の信任を得て国際書記になったキム・ヨンスンが「いばりちらしたため」左遷されて炭鉱の労働者になった事件など、数え切れないほどある。

つまり、信任されたからと言って権力を振るったり、傲慢になったり人格が感じられない行動をとったら、側近だからといって受け入れることはないとみせしめるために、一罰百戒で治めたのだった。

このように「鞭打たれた」幹部たちの中で、充分に反省したと判断されたり、思想的にも実力を見てもまた使うことができると評価された人は、「再生」の機会を得ることができた。「にんじん」が与えられたのである。そのため処罰された幹部たちは、自分をいつかまた呼んでくれるのか、それとも永遠に捨てられるのか、絶えず苦心しながら忠誠心と「真価」を見せるために、最大限の犠牲を払い献身するのだった。