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あまり知られていないことだが、北朝鮮で携帯電話は既に370万台が普及している。人口がおおよそ2500万人で世帯数は約600万。単純計算だが2世帯に一台以上の普及率だから、決して珍しいアイテムではない。

そもそも、中朝国境地帯では15年以上も前から、中国キャリアの携帯と中国電波を利用した海外通話が密かに行われていた。ただし、こうした海外通話は原則的に違法であり発覚すれば厳罰が待っている。

今年8月には、中朝国境で中国キャリアの携帯電話を使用したことが発覚し、女性3人が秘密警察に逮捕される。その後の取り調べで彼女たちが定期的に韓国に国際電話をかけていたことが明らかになり8月20日に銃殺された。

北朝鮮当局は、こうした違法通話を防ぐため強力な妨害電波を発信して、中国側の住民が大迷惑を被っている。中国当局も北朝鮮に妨害電波の発信を中断するよう求めたが、逆ギレされて中止するから金を出せと要求される始末だ。

携帯電話を通じて海外に情報が流出することを極度に警戒する北朝鮮当局だが、370万台の携帯から得られる通話料は貴重な収入源であり、もはや規制したり廃止することは不可能だ。

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こうしたなか、北朝鮮の若者達の間では携帯電話が「恋愛のマストアイテム」になりつつある。

かつて、北朝鮮でプロポーズする際のプレゼントと言えば結婚指輪が定番だったが、最近では「携帯電話」をプレゼント、または交換することもある。その携帯電話も「北朝鮮製よりも外国製(韓国製)がかっこいい、特にスマートフォンが人気」と言われているぐらいだ。

北朝鮮を代表するエリート大学「金策工業大学」の卒業生で、昨年12月に韓国に入国した脱北者のカン・ジョンナム氏は、「3~4年前まで、携帯電話を持つ学生はクラス2~3人だったが、その1年後には半分が持っていた」と語った

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大学生のなかで携帯電話の所有率が爆発的に増えた理由は、ズバリ「恋愛」。

「携帯電話を持っている人が持っていない人より恋愛できる確率は12倍高いからだ」とカン氏は述べる。

北朝鮮の携帯電話は、スマホを含めてインターネットにはアクセスできない。ただし、イントラネットにはアクセスできる。またスマホのアプリなども開発されている。

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まだまだ初期段階だが、北朝鮮IT革命は静かに進行しているようだ。