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計画経済が完全に破綻している一方で、初期段階とは言え市場経済の発展が著しい北朝鮮。マンションの建設にトンジュ(金主、新興富裕層)の投資を誘導したり、工場の一部や閉業した国営商店を個人業者に貸し出して営業させるなどしている。

北朝鮮の市場経済は、単に市場で物を売るだけの段階を過ぎて、モノづくりが活発になる段階に移行しつつある。これは、当局が家内制手工業や商工業を暗に許容していることがその背景にある。詳細を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。個人が、工場や企業所の名義を借りてバスやトラックを営業手段としてつかう「ソビ車」が手頃な金儲けとして一時流行した。ところが、慈江道(チャガンド)の情報筋は「ソビ車隆盛の時代は終わった。それに変わって、場所を借りて工場や会社を作る人が増えつつある」と語った。

つまり「町工場」が北朝鮮の至るところにできつつあるということだ。これらは主に家族や親戚から資金と労働力を総動員して菓子、靴、タバコなどを製造、販売するものだ。

町工場の増加に伴い、中国から輸入される品目にも変化が現れつつある。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、以前は完成品の輸入が多かったが、最近は原材料や部品の輸入が増えつつある。これは輸入品を市場で販売するよりも、資材を輸入して北朝鮮国内で加工、販売した方が儲かるからだ。

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例えば、以前は中国から輸入した服を市場で売っていた人が、今では中国から服地、ラベルなどを輸入して、国内で製造するようになりつつある。また、車の修理や洗車など、今まではドライバー自身が行っていたことを、専門業者の出現により、お金を払って人に任せるようになるなど、社会全体での分業化が進みつつあることも、資材や部品の輸入が増える一因だろう。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の大学生によると、当局が資本主義的方式を黙認している背景には、金正恩氏が中国式の経済開発を目指していて、小規模な個人企業の育成を奨励しているからという話があるという。

北朝鮮には、今までも権力と結託し企業形式で大規模なビジネスを行う人々がいた。しかし、町工場の増加は、それらとは一線を画した草の根資本主義が北朝鮮に根を下ろしつつあることを示している。

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彼らをサポートするために北朝鮮当局がやるべきことは、軍事パレードや銅像の建築ではなく、鉄道や高速道路の建設、修復や自然再生エネルギー発電所の積極的な導入による電力難の解消など、インフラ整備であることは言うまでもない。