ともあれ、同氏が指摘している様に、安倍首相は拘束された日本人を「見殺し」にする態勢に入っていると言わざるを得ない。
それは一義的には、菅義偉官房長官が9月30日の記者会見で無用なコメントを発した、初動ミスによるところが大きい。
しかしその後、事態がこう着してしまったのは、大手マスコミにも責任がある。背景に、公安調査庁が民間人に情報収集を依頼していた事実があるのは明らかなのに、「外国人の活動に神経をとがらせる中国当局の姿勢が浮かぶ」(朝日新聞10月26日付)などとして、中国当局の治安体制が原因であるかのような報道ぶりなのだ。
この問題の本質は、そこにはない。日本が今後、インテリジェンスとどのように向き合うかが問われているのだ。それなのに、普段は「国防」を論じるのが好きな保守メディアですら、安倍政権のミスを矮小化したいのか「日本に必要な諜報」に言及しようとしない。