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北朝鮮で、日本や韓国のアパレル製品の古着がファッションの最先端となっている。

むかし、在日朝鮮人が日朝を活発に往来していた時には、現地の親戚へのお土産として、大量の日本製の古着を持ち込んでいた。それは北朝鮮が慢性的なモノ不足であるため、生活に必要なモノとして一般庶民の間で需要があったわけだが、当時と今とでは事情が違う。

現在の古着需要は、いわゆる「ヴィンテージ・ブーム」に似た形で富裕層の間で拡大しているという。

近年、北朝鮮では国民経済の資本主義化が進むにつれ、ファッション事情も急速に多様化してきた。

1990年代まで、北朝鮮では女性がブラジャーを着用することは「資本主義にかぶれた遊び人」のように見なされ、タブー視されていた。それが変わり始めたのは、外国製品や「韓流」の流入が始まった2000年代のことで、現在では着用する女性が多数派だ。

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さらに、そうしたファッションの変化は男女交際の形にも影響を与えながら、人々の意識の変化をも促している。

もちろん、ビジネスにも影響は及んでいる。

最近、朝鮮労働党や政府の中堅幹部の間では、「プーチンコート」と呼ばれるコートが人気だ。零細な縫製業者による製品なのだが、そのクオリティは中国のアパレル業者も舌を巻くほどだと言われる。客の目が肥えてきたために、良いものを作らなければ北朝鮮国内でも売れなくなっているのである。

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ちなみに、どうしてプーチン大統領の名が付いたのかはイマイチ不明だが、どうやら北朝鮮では「イケてる男」の代名詞になっているようだ。

逆に「イケてない」のが、他ならぬ金正恩氏である。

あの強烈な髪型と極太ズボンが若者にウケるはずもないが、彼が「若者のために」と思ってデザインさせた学校制服もまた、情け容赦ない酷評を受けている。

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デイリーNKは北朝鮮における「イマドキ10代おしゃれ事情」を知るため、昨年10月に脱北したリ・チョルフン君(仮名)にインタビューした。彼の金正恩デザインに対する評価は、「あんなダサい制服を着たら人間の価値が下がります」と、何とも無慈悲なものであった。

ちなみに、かつてオシャレなど考えたこともなかった北朝鮮国民の間で、クールなファッションの風を巻き起こしたのは韓国の学生運動の女性闘士、林秀卿(イム・スギョン)氏だった。89年、韓国政府の制止を振り切って訪朝。その際のさわやかな服装や自由な発言が、北朝鮮の人々に衝撃を与えたのだ。

林氏は帰国後に懲役刑を受け、その後は脱北者の言動を非難する親北政治家となった。そんな彼女が全体主義しか知らない国民に「自由」を意識させたというのだから、北朝鮮の体制にとっては皮肉な話だ。