今年6月に韓国で行われた性的少数者の祭典「ソウル・クィア・パレード」「大邱・クィア・パレード」に対して、保守プロテスタント団体が激しい攻撃を加えたことはデイリーNKジャパンでも報道している。

それ以降、韓国における性的少数者の人権状況について国際的な関心が高まっているが、米CNNが最近放送した「韓国でゲイとして暮らすこととは?」というレポートが韓国メディアの注目を集めている。

CNNは、米国人のパートナーとカリフォルニア州で同性婚を上げた韓国人のミッキー・キム氏を紹介した。彼は家族にも真実を告げられずにいる。かつてインターンとして働いていた企業では、ゲイであることが知られて職を失うのではないかと心配しながら非常にストレスフルな生活を送っていた。CNNは「韓国世論の57%が同性愛を受け入れられない答えた」とし、ソウル・クィア・パレードに対する保守プロテスタントの激しい攻撃の様子を伝えた。

また、学校からも社会からも正しい知識を得られないため、性的少数者の若者は混乱し、孤立感に陥る結果となっていると伝え、キム氏も「自分は精神病だと思っていた」と語った。

レポートは、キム氏が万が一の事態、つまり同僚が暴力を行使して同性愛への反対を示す事態に備えて職場に監視カメラを設置しなければならない状況を伝えて締めくくられた。

韓国社会の性的少数者に対する認識は、徐々に変わりつつはあるが権利回復運動が盛り上がるにつれ、彼らに対する攻撃も激しさを増している。つい最近で、公職者性的少数者に対してヘイトスピーチを行った。 韓国の公共放送KBSのチョ・ウソク理事は「同性愛、同性婚をいかに見るべきか」という討論会で「同性愛者は汚らわしい左派」と発言した。さらに別の席では「盧武鉉(元大統領)は、同性愛と左派の連帯の証拠」とも発言するなど、公開の場で、1950年代のアメリカのマッカーシズム的なホモフォビック(同性愛嫌悪)な発言を繰り返している。

チョ理事のヘイトスピーチに対しては厳しい批判の声が上がり、発言の撤回と理事の辞任を求める圧力が高まっているが、同時はいずれも拒否し続けている。また、現役の閣僚の中にもヘイトスピーチを行う者が現れた。

金賢雄法相は、7月に行われた就任前の人事聴聞会で「同性婚に反対する」「性的少数者のパレードは制限されるべき」などと語り波紋を呼んだ。韓国では、今後のクィア・パレードを含めた性的少数者の活動に対して、朴槿恵政権が弾圧に乗り出すのではないかとの見方すらある。

韓国女性家族省は、大田(テジョン)市が一度は制定した「性平等基本条例」に対して「性的少数者の人権保護条項が含まれるのは立法の趣旨に反する」との意見を示したことも、朴槿恵政権の方針を裏付けするものとして受け止められている。結局、条例は当該条項を削除して改定された。

激しいバックラッシュに遭っている韓国の性的少数者の人権状況の悪化は、日本にとっても決して対岸の火事ではない。韓国でホモフォビックな活動を繰り広げているプロテスタント系宗教団体が、キリスト教信者の少ない日本を「新しい市場」と見て進出を進めているからだ。

最近では、韓国のプロテスタント系のカルト教団が日本の宗教関係者に近寄り「世界の宗教者が集まる会議があるので参加しないか」と持ちかける事例が複数報告されている。

一方、日本国内には、韓国系のカルト教団の動きを監視するプロテスタント系の団体が存在する。その団体の代表が、韓国で「同性愛者撲滅」を叫ぶ教会の賛同者であるのは皮肉なことだ。

また、日本では主に排外主義者やレイシストによって、性的少数者に対するパッシングが行われているが、韓国のプロテスタント系宗教団体と、手を結ぶことも充分にありうるかもしれない。

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