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中国のインターネットで北朝鮮に関する「ある変化」が起きている。

金正恩第1書記を揶揄する「金三胖」というキーワードが検索不可能になったのだ。「金三胖」とは「金氏の3代目の太っちょ」、まさに金正恩氏を指した言葉である。

中国のネットで金正恩氏の評価は高くない。それどころか、公式画像や動画を加工して揶揄されるなど、金正恩氏は嘲笑の対象になっている。

こうした風潮に業を煮やした北朝鮮側が、10月10日に行われた朝鮮労働党70周年記念軍事パレードに出席した中国共産党序列5位の劉雲山氏に「中国のネットでわが国の最高指導者(金正恩氏)に対する誹謗中傷をやめてほしい」と要請した可能性が高い。

ただし、デイリーNKジャパンで実際に検索してみたところ、確かに「金三胖」はNGだったが、「金家三胖(金家の3代目の太っちょ)」など言葉を変えると、普通に表示された。いくら中国がネット規制をしているとはいえ100%の検閲は困難なようで、あまり効果はないようだ。

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それでも北朝鮮が、こうした要請をせざるをえないのは、中国から金正恩氏に都合の悪い情報が流入することを警戒しているからだ。

中国を訪れる北朝鮮住民は日増しに増えている。仮に現地のインターネットで「元帥様(金正恩氏)が中国で揶揄されている」という現実を知り、帰国後、中国における金正恩氏の実際の評価が国内で拡散することは、偶像化を進めるうえで大きな障壁となる。

一時期、北朝鮮当局は金正恩氏の実母「高ヨンヒ」に対する偶像化を進めたが、頓挫したことがある。これは、日本を発信源にして「高ヨンヒが大阪生まれの在日朝鮮人」という北朝鮮にとっては誠に都合が悪い情報が北朝鮮国内に流入し、拡散したからだった。

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記憶に新しいところでは、8月に韓国が11年ぶりに「対北朝鮮拡声器放送」を再開した際、北朝鮮は中止しなければ軍事行動も辞さない強硬姿勢で猛反発。外部情報の流入が金正恩体制の急所を突いていることを知らしめた。

金正恩氏に対する情報だけでなく、韓流ドラマや外国映画などの流入に北朝鮮当局が警戒していることは、英テレグラフ(The Telegraph)が公開した北朝鮮の公開裁判の動画からも伝わってくる。

金正恩氏は、今後もインターネットや情報流入に苛立つ日々を送らなければならない。なぜなら、北朝鮮国内に流入するこうしたコンテンツのほとんどは、どこかの段階で何らかの形でインターネットを媒介として拡散されているからだ。

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北朝鮮では、いまだに一般庶民たちがインターネットにアクセスすることは不可能だ。それにもかかわらず、これだけ拡散しているということは、仮にインターネットが解放されれば、様々なコンテンツが核爆発級に拡散するだろう。