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北朝鮮が、長距離弾道ミサイル(衛星ロケット)を打ち上げる素振りを見せながら、なかなか実行しないと思ったら、裏で意外な一手を打っていた。

宇宙開発に関わる国際団体・国際宇宙航行連盟(IAF)に、北朝鮮のミサイル発射部門がいつの間にか加盟し、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)、米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)などとちゃっかり肩を並べてしまったのだ。

北朝鮮はこれまで、自分たちが平和的な宇宙利用のためにロケットを打ち上げるのは、「国際法上公認された主権国家の合法的権利である」と主張してきた。

それは、その通りである。

北朝鮮が国連決議により禁じられているのは、弾道ミサイル技術を使ったロケットの打ち上げであり、平和目的での宇宙開発を禁じられているわけではない。だからIAFとしても、北朝鮮側の加盟申請を断ることは出来なかったのだ。

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ただ、人工衛星を軌道に乗せる核心技術は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などのそれと共通している。だから「衛星ロケットも打ち上げちゃダメよ」ということになっているのである。

北朝鮮はそれに対し、「お前らがどう考えようが、あくまで平和目的なのだから好きにやらせてもらう」と言い募ってきた。

今回のIAF加盟は、この主張をさらに強く打ち出すとともに、宇宙技術に関する世界の情報コミュニティーの中に座を占めよう、という狙いからであると考えて間違いなかろう。

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もっとも、北朝鮮の「ロケット打ち上げはあくまで平和目的である」との主張は、彼ら自身の言動によってすでに崩壊している。

北朝鮮は、核弾頭の小型化を自ら宣言。

米国に対する核抑止力の強化や、米国本土への先制核攻撃すら示唆している。

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これでは、ロケット打ち上げが禁じられるのも当たり前だ。なぜなら北朝鮮が米国を核攻撃するには、小型化した核弾頭を弾道ミサイルに搭載するしかないからだ。

こんなことを繰り返し言っていては、いくら裏で巧妙に立ち回りIAFに加盟しても、状況が変わるはずがない。

しかし、気になることがひとつだけある。ロシアの動きだ。

ロシアの国営タス通信は今年4月、北朝鮮の「朝鮮宇宙空間技術委員会」副所長をインタビューし、ロシアとの平和的な宇宙開発での協力を強化したい、との言葉を伝えた。

朝鮮宇宙空間技術委員会と言えば、2012年に長距離弾道ミサイル「銀河3号」の発射を成功させたことで、勲章を授与されている。そんなアブナイ団体の幹部のインタビューを、国営通信がプーチン大統領の許可なく配信するはずがない。

これは、いずれロシアが北朝鮮の衛星打ち上げに協力するための伏線ではないのか。仮に、安保理常任理事国として拒否権を持つロシアが、何らかの形で北朝鮮の衛星打ち上げに協力することになれば、ゆくゆくは、国連の対北制裁が骨抜きになることにもつながりかねない。

ウクライナ問題やシリア問題を巡り、米国と対立の度を深めている現在のロシアであれば、そうした挙に出ることもないとは言えない。

北朝鮮の今回のIAF加盟は、そうした動きのひとつのステップではないのだろうか。