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朝鮮労働党創立70周年を記念する軍事パレード(10日)が、事前の予想と比べ、意外とあっけなく終わった。

北朝鮮はこの日に向け、長距離弾道ミサイルを発射するかのような動きを見せていたが、いまだその具体的な徴候はなく、パレードそれ自体にもあっと驚くような仕掛けはなかった。

各種の記念行事はしばらく続くと思われるが、長期にわたる練習に動員されてきた平壌市民らも、ホッと一息ついているのではないだろうか。北朝鮮の体制が好むこの種の仰々しいイベントは、国民に様々な負担を強いている。

体制の権威を誇示するためだけの生産性のない大イベントは資源の浪費であり、ただでさえ苦しい経済を圧迫するからだ。

それは時に、国民の命を奪うことにもつながる。3 年前、金正恩氏の最高指導者「即位」を祝うドンチャン騒ぎが平壌で数カ月にわたり続けられた際、過剰な食糧徴発のために地方で飢餓が発生し、「人肉事件」さえ多発するほどの凄惨な事態に発展したのは、以前にも紹介した通りだ。

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さらに遡って調べたところ、こうした出来事が一度ならず発生していることがわかった。 中でも悲惨な事例が、1989年4月に発生した橋崩落事故だ。 北朝鮮では毎年、金日成主席の誕生日(4月15日)を盛大に祝う。また、金日成氏に「喜び」を献上するため、この日に合わせてダムや大型建造物を完成させたりもする。

この年も、4月15日の完成を目指し、高速道路の建設がムリなペースで進められた。その過程で、建設途中の橋が崩落する事故が発生し、500人が120 メートル下の川原に落下。後に韓国へ逃れた目撃者たちの証言によれば川原には原形をとどめない死体が散乱し、救助の看護師たちが気を失うほどの地獄絵図と化したという。

これは明らかに人災であり、その責任は最高指導者はじめとする体制の指導部にある国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチも、北朝鮮当局が住民達に奴隷労働を強制していると非難しているが、北朝鮮の人権侵害は、政治犯収容所だけで行われているのではない。人命を軽視する体制そのものが、絶えず国民の不幸を生み出す許されざるシステムなのだ。