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北朝鮮で最近、日本の警察官に当たる「人民保安員」から退職者が続出している。

理由はズバリ、庶民からの「報復」が怖いからだ。実際、取締のやり方が過酷だったり、権力をかさにきて執拗にワイロを要求してきた保安員らが、待ち伏せされて殴打されたり、殺されたりする事件が多発している。

金正恩時代になって以降、北朝鮮当局は以前の金正日政権時代と比べても、社会への統制と取締を強めている。それに対して庶民の反発が高まっているのだが、以前は権力に対して従順だった庶民たちは、今では公然と反発するようになっている。

6月には咸鏡北道(ハムギョンブクト)で、保安員と商売人の間での乱闘が発生し、軍と国家安全保衛部(秘密警察)、警察が派遣される事態にまで拡大している。

デイリーNKの内部情報筋は、その時の様子を次のように語った。

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「市場を管理する保安員が工業製品を押収したことに商売人が反発したが、最初は言い争いだった。しかし、殴り合いに発展し、周辺の商売人は凶器まで用いながら保安員に襲いかかった」

これは、かつてなら考えられなかったことだ。北朝鮮では権力は絶対であり、抗うことは死を意味した。

たとえば90年代の末には、当局の横暴に抗議する製鉄所の労働者たちを鎮圧するため、中央権力が軍を投入。座り込んでいた人々を戦車で次々に引き殺すという凄惨な出来事が起きている。

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しかしその後、絶望的な食糧難の中で当局をあてにせず、自ら活路を切り開いてきた人々は、権力に対して容易に屈しないようになっているのだ。

もっとも、その過程でも悲劇は起きている。数年前には保安員が庶民の報復に遭った際、妻子まで惨殺される事件も起きた。

悪質な保安員の末路に対しては「自業自得」との声も聞こえるが、彼らとしても満足な給料をもらえず、庶民から巻き上げるワイロを収入の柱にせざるを得ない惨めな状況にあるのである。