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北朝鮮の金正恩第1書記と、父親である故・金正日総書記には様々な違いがあるが、最も分かりやすいものとして「飛行機」がある。

金正日氏は大の飛行機嫌いとして知られ、遠いロシアへ外遊する際にも列車を使った。

一方、金正恩氏は正反対で、国内の移動でも飛行機を使う。それどころか、国土が広いとは言えず、諸外国と比べれば外国人観光客もだんぜん少ない北朝鮮国内に、次々に空港を作ろうとしているという。

日本でさえ、無謀な地方空港の建設ラッシュが自治体の財政や航空会社の経営を圧迫したというのに、ただでさえぜい弱な北朝鮮経済にどのようなマイナスをもたらすのか心配になるほどだ。

それほど飛行機を偏愛している金正恩氏が、10日の軍事パレードでジェット戦闘機を飛ばさなかったのは意外だった。

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メディアの中には、その理由が「苦しい財政事情」にあると分析しているものもある。おカネがないために、戦闘機を飛ばすための燃料の確保もおぼつかないのではないか、との見方だ。

たしかに、その可能性は低くない。北朝鮮の燃料事情は、慢性的にひっ迫している。

しかし、中国共産党の高位幹部がパレードに派遣され、中朝関係の改善が強くアピールされたことを踏まえると、今回は燃料を“ケチる”タイミングではなかったようにも思える。

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何しろ、中国は北朝鮮との関係が悪化する中でも、なぜか航空燃料の支援は続けていたのだ。

中国との関係が改善して行けば、今後はより多くの燃料支援を期待できるのだから、大盤振る舞いしようと思えば出来たのではないか。

もちろん、中朝関係の動きが急すぎてジェット戦闘機のパレード練習が間に合わなかった可能性は残る。

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しかしそれにしても、朝鮮労働党創立70周年という重要な節目のパレードで、正恩氏が大好きな戦闘機を飛ばすのを我慢した理由は他にもありそうだ。

それはズバリ、韓国の動きを警戒しているのではないか。

正恩氏は8月の軍事危機で、韓国との「チキンレース」に敗れた。

そして、自軍の兵士が北朝鮮の地雷で吹き飛ぶ動画を国民に公開し、「北との交戦もやむなし」との世論醸成にまで動いた韓国の姿勢に「本気」を見たのではないか。

ましてやその後、韓国軍は金正恩氏の「斬首」にまで言及している。

今後、韓国側と通常戦力で一戦交える可能性が高まると正恩氏が考えたのならば、これまでのような無暗な威嚇を行うより、実戦への備えを強化しようと考えたとしても不思議ではないだろう。