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IV.
中国がこれまでアメリカに「注意と忍耐」を要求して、6カ国協議の中で北朝鮮の核問題を解決しようと説得した論理は、それがアメリカの他のオプションよりも「価格と比べて満足度が相対的に高い」ということだった。すなわちアメリカが北朝鮮を軍事的に、あるいは外交的、経済的に圧迫して見ても、何も得えるものがないだけでなく、かえって北朝鮮の核問題を悪化させるだけということだ。

一方で、アメリカは中国の論理に説服されたからではなく、6カ国協議が「北朝鮮の核を解決することはできないとしても、危機管理(crisis management)」としてはそれなりに意味がある」と判断していた。少なくともこれ以上悪化させないという計算だった。だが今や、中国の論理もアメリカの計算も、実は核兵器の「主人公」金正日の同意を得ない限り、「ボールのないサッカー」のようにいつわりでむなしいものだということが明らかになった。

今や、「価格と比べて満足度が相対的に高い」オプションを選択しなければならない国家は中国になった。つまり、「金正日政権の崩壊」が「東北アジアの総体的な軍事危機」よりもずっと安いということが明らかになったのだ。

中国は2008年の北京オリンピックの開催をきっかけに、集中的に研究したと言われている。国家機密として扱う災難管理対策(contingency plan)には、北朝鮮崩壊後に中国の延辺地域に押し寄せる北朝鮮難民も含まれていると思われる。中国は北朝鮮の難民が大挙して延辺地域に集まってきたら、人道主義的観点から惨状を誘発して、中国全体の安定を揺るがして、中国政府が計画する経済に深刻な危害を与えると思っている。

しかし、中国が北朝鮮の大規模な難民のために、どのような対価を払ってでも北朝鮮政権の崩壊を阻まなければならないという主張は、2つの理由から否定されなければならない。

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まず、大規模な北朝鮮難民の流入は、中国だけの問題ではない。アメリカも台風カタリーナによって大規模な災難が発生した時、国際社会から支援をもらったし、中国も四川省の大震災の時に国際社会の無条件の支援を受けた。ましてや韓国の憲法によって韓国国民と認められている北朝鮮難民の問題を解決するために、韓国が支援しないということは想像もできないし、アメリカや日本も人道主義的次元で積極的に助けるだろう。

2つ目は中国だけが安全を望み、中国だけが経済の発展を願っているわけではないという当たり前の事実だ。今、金正日政権は6カ国協議の約束はもちろん、中国が参戦国として調印した停戦協定も無効だと主張している。韓国と日本、そしてアメリカの国家の安保を北朝鮮がこのようにのぼうずに踏み躪るのを中国が放置したら、その結果が台風よりも大きなブーメランになって中国に帰ってくるのは明らかだ。

それは日本が核武装したり、朝鮮半島の非核化が事実上紙切れになるということだけではない。北東アジア全体が揺らげば、韓国や日本の経済も大変になって、中国もその影響を連鎖的に受けることになるだろう。

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V.
したがって、中国が金正日政権に「これ以上厄介者の後見人はしない」という点を言葉と行動ではっきりと見せなければならない時がきた。国連制裁に積極的に賛同して、必要があれば全世界の国々が北朝鮮の経済封鎖を決意したら、積極的に参加しなければならない。

それだけでなく、北朝鮮の細々とした軍事挑発が、ともすれば大規模な軍事紛争に飛び火する可能性があるという点から、停戦協定の当事国である中国は北朝鮮の軽挙妄動に断固と対処するという点を明確にしなければならない。つまり、金正日の北朝鮮はもはや、中国の朋友ではなく、実際に世界のどの正常国家の朋友にもなれないという点を強調しなければならない。

ただし、金正日政権が北朝鮮の核の完全な放棄を「世界の人民の平和と安全のための、将軍様の大乗的な決断」と褒め称えて出る時、中国の仲裁者としての役割は全世界が歓迎するだろう。だが、それまでは一瞬たりとも金正日政権を擁護してはいけない。

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中国が21世紀の状況を認識して、朝鮮半島政策の大転換を試みる時がきた。歴史の転換期を逃して、過去の惰性から脱することができなければどのような結果が待っているのか、「中国近代史」が物語っているのではないだろうか。

[ホン・ソンM/哲学博士]