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世界で最も観光客が多い国はどこか。イタリア?エジプト?アメリカ?違う。フランスだ。2位のアメリカを訪れた観光客は5800万人(2007年)だが、1位のフランスは8190万人に及ぶ。

数値だけを見ると、フランスが断トツ1位だ。では、フランスで観光客が一番多く訪れている場所はどこだろうか。これは簡単だ。エッフェル塔だ。鉄製の巨人、エッフェル塔がフランスの観光名所の1位になっているが、これは少し逆説的に感じられる。

この塔は1898年に万博を記念するために建てられたが、当時、パリの文化人や芸術家は皆、声をそろえて反対した。万博が終わって一定の期間が過ぎたら、必ず撤去すると約束してから建てたという。しかし、今では世界の人々に最も愛されている観光名所になっているのだから本当に不思議だ。

醜い建物が名物になるという、この現象に由来した心理学用語が「エッフェル塔効果(Eiffel Tower Effect)」だ。いくら醜いものでもたくさん接していると愛情が芽生えて、親近感を覚えるようになる現象をエッフェル塔効果と言う。

遠い親戚よりも近くの他人ということわざも、エッフェル塔効果と意味が似ている。実際に広告主はこのエッフェル塔効果に期待して、持続的にそして反復的に商品の広告を流している。たくさん接するほど認知度も高くなり、愛情も出てくるため、資金の問題さえなければ、広告を沢山流せるほど広告主にはメリットがある。

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エッフェル塔効果が広告に活用されるのは、企業の生存にかかる問題だからそれはそれでいいと思う。しかし、我々の意識がエッフェル塔効果に影響を受けて、行動まで定まるとしたら、その時点からは緊張しなければならない。

嘘の情報でも持続的に接すると本当のように思い込んでしまう。これはヒトラーの広報マン、ゲッペルスが使った戦術の1つで、そうしたことに翻弄されてはいけない。

08年5月にあった「悲劇のキャンドルデモ」も、エッフェル塔効果で説明ができる。テレビやインターネットを見ている人が圧倒的に多く、その割合が持続的に高まっている。人は自分がよく見る、慣れているメディアが伝える話は事実として受け入れてしまいがちだ。

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それを批判したメディアや人は世論の異端にすぎなくなり、深く傷つき、その延長線上で葛藤している。

各メディアはそれなりの論調を持っていても、報道する時は事実と公正性を最大限維持しなければならない。これはメディアにとって基礎的な常識に属する問題であり、解決しなければならない大きな宿題でもある。

重大な事件に対して1次モニタリングを終えた公正言論市民連帯のモニターチームは、11社の新聞に注目している。北朝鮮問題と関連した専門家の寄稿やインタビューを単純に数値化してみた。

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単純な数字を通じて、どれだけエッフェル塔効果(偏頗的な特徴)が潜んでいるかを把握するためだった。今モニタリングをしているため、総括的な話は先送りにする。今年の1月から4月まで分析した内容を見てもエッフェル塔効果が見られる。

約100人に及ぶ北朝鮮専門家のうち、上位10人が489件に及ぶ寄稿やCンタビューを担当した。これは新聞11紙(朝鮮、東亜、中央、韓国、世界、京郷、ハンギョレ、文化、ネイル、聯合ニュース)の寄稿やインタビュー1000件のうち、約50%を占める量だ。しかし、問題はこれからだ。

上位10人の寄稿やインタビュー、つまり、全体の50%に当たる489件を分析してみると、一方性が目立つ。太陽政策の支持者による寄稿やインタビューは356件で72.8%を占めているが、北朝鮮の人権(もしくは相互主義)を唱える人は133件で27.2%にすぎない。

一般的に、朝鮮・中央・東亜など保守傾向の強い3紙の影響力が圧倒的だと言われている。そのため、北朝鮮人権論者による寄稿やインタビューが多いだろうと予想していたが、実際に調査してみると、予想とは違った。メディアに露出した頻度を見ると、4位のユ・ホヨル教授以外は皆、太陽政策の支持者だった。

新聞社別に見ると、ハンギョレ(97.6%)、京郷(95.6%)、ネイル(明日という意味)新聞(68.2%)の順で、太陽政策の支持者の露出頻度が高い。朝鮮と中央にもこのような傾向が見られる。朝鮮は57.9%、中央は55%程度で太陽政策の支持者によるものが多い。東亜だけが80%で、北朝鮮人権論者の頻度が他と比べて少し高い方だ。

07年と08年に放送局3社とYTNの北朝鮮論評を分析してみると、太陽政策支持者である上位3人が全体の43%を占めている。2008年12月のナラ政策研究院の発浮?ゥると、私たちがどんなに新聞や放送からの一方的な見解に集中的に露出しているのか、改めて確認できる。

できるだけ多くの量を分析して様々な側面を見なければならないが、現在までの結果を考慮すると、北朝鮮問題関連の情報が一方的であることは火を見るように明らかだ。

言論の自由には制限がない。唯一の制限といえば「責任」だ。その責任は2つで、1つ目は事実に対する責任、2つ目は健全な世論形成に対する責任だ。

嘘はどういう理由があっても原論に違反する行為であり、健全な世論の形成を破壊するものだ。健全な世論を形成するためにジャーナリストの努力が必要だ。一部の人はメリットで働くエッフェル塔効果を払拭して、正しい世論形成に努めるべきだ。過去に自由のために戦ったジャーナリストたちが、今は健全な世論形成に務めるために戦ってほしい。