金正恩第1書記の指示により、平壌郊外に位置する「朝鮮中央動物園(平壌動物園)」の一部園舎の改修工事が行われていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

朝鮮中央動物園の衛星写真。左下が工事が行われている箇所。(画像:Google Earth)
朝鮮中央動物園の衛星写真。左側が工事が行われている箇所。(画像:Google Earth)

RFAによると、米ジョンズホプキンス大学韓米研究所のカーティス・メルビン研究員が、衛星写真を比較分析しながら改修工事の様子を明らかにした。

金日成氏が建設した「平壌動物園」

金正恩氏は2012年5月、平壌動物園を視察して改修工事を指示。第1段階の工事が行われ、昨年末からは第2段階の工事が始まったが、さらに正恩氏は、朝鮮労働党創建70周年までに工事を終えるよう指示した。改修工事が行われるのは、自然博物館、チョウザメ館、鳥類館などだ。また文化会館などの建設も含まれている。

動物園を視察して子グマを見る金正恩氏(資料写真)
動物園を視察して子グマを見る金正恩氏(資料写真)

平壌動物園は、1959年に故金日成主席の指示で建設された。世界各国から贈られた動物が飼育されており、さしずめ贈り物が展示されている「国際親善展覧館」の動物版といったところだ。

レジャー施設が大好きな金正恩氏

平壌動物園の改修だけでなく、金正恩氏は様々なレジャー施設の建設に力を入れている。代表的なところでは、複合サービス施設「ヘダンファ館」、レストランやスパを備えた「紋繍(ムンス)プール」、「美林(ミリム)乗馬クラブ」などだ。

北朝鮮メディアは、こうしたレジャー施設建設を「金正恩元帥の人民愛」だと喧伝しているが、その狙いはプロパガンダだけでなく「外貨回収」だ。

まともな金融システムが存在せず、銀行が信用されていない北朝鮮では、貯金する習慣がない。よって外貨が一旦市中に出回れば、国庫に戻ってこない。中国人民元や米ドルなどの外貨紙幣は、ボロボロになっても流通し続ける。つまり、国家が外貨を管理できていないのだ。

高級レストランや各種レジャー施設の建設は、トンジュ(金主=新興富裕層)や経済的に余裕がある住民に外貨を使わせて回収するのが真の狙いである。

しかし、その経営実体はある施設で稼いだ外貨を、別の施設建設に投入する「自転車操業」であり、先行きは明るくない。また、施設維持にも巨額のコストがかかっている。

一般庶民や地方住民などの国民の大多数は、施設を利用する恩恵に預かれず不満の声が上がっている。トンジュが訪れるとはいえ、訪問者数も限界があり、いずれ飽きられるかもしれない。

金正恩氏は、いつになったら各種レジャー施設の建設が、実にコストパフォーマンスの悪い「ハコモノ行政」だと気づくのだろうか。

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