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金正恩第1書記は、「現代化」という言葉を好むようだ。「学校を現代化せよ!」「国境警備を現代化せよ!」など、スローガンに頻繁に「現代化」を入れ込む金正恩氏だが、今度は「病院を現代化せよ!」との指示を出した。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、金正恩氏は10月10日の朝鮮労働党創立70周年記念を迎え「病院は新しい時代の要求に合わせて医療装備を現代化せよ」との方針を示したが、医療現場に混乱をもたらしているという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市の情報筋によると、金正恩氏の指示は、各道の人民病院や郡の病院に伝えられたが、あまりにも現実離れした内容のため、関係者一同が開いた口が塞がらなかったという。

具体的な指示の一つが「レントゲン設備を改善せよ」だが、北朝鮮国内では製造できず、中国から輸入せざるを得ない。設備費用は、安くても1台1万ドルで、地方病院の財政力ではとても手が出ない。

さらに、「産婦人科の分娩室の設備も一新せよ」と指示したが、どれも数千ドルの費用はかかる。そして、「(購入費用がなければ)自力更生でやれ」と指示。自分たちで「金を用意して購入しなさい」という意味だ。 仮に設備購入の予算が確保できでも、次に「電力確保」という最重要課題が残る。多くの病院内の電気設備は老朽化が進んでおり、地方ではまともに供給すらされない。手術を行うには、ソーラー発電機とバッテリーが欠かせないが、これも無料ではない。

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金正恩氏が、いくら「現代化」とスローガンを叫ぼうとも、多くの問題が山積しているため、どこから手を付けたらいいのかわからないのだ。予算もない。かといって最高指導者の指示を無視するわけにもいかない。困り果てた病院は、ついに医者から金を集めだした。

南浦(ナムポ)の情報筋によると、「市内の病院が『忠誠の資金』と称して医者に外貨を差し出すように言い出した」という。

しかし、北朝鮮では医者すらも薄給に苦しめられており、そんな余裕はない。そこで、患者にワイロを要求せざるを得ないのだ。

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ワイロが外貨なら、そのまま病院に差し出す。タバコなどの現物なら、市場で売り払って現金化して、ノルマ達成に向けて涙ながらの努力をしている。

最近では、手術を受けるためには「タバコ」、中絶手術を受けるためには「ディーゼル油」を病院に持っていかなければならないような状況になっている。

情報筋は「世間知らずの最高指導者は、外国で見た通りに現代化しろ、現代化しろと言うばかりだ」と金正恩氏を批判する。

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また、常にワイロが必要で、医者の腕もいいとは言いがたい人民病院よりも、親切丁寧な民間病院に人気が集まっている。党の幹部ですら人民病院ではなく、民間の漢方医のもとを訪れているのだ。しかし、手術は人民病院で受けざるを得ず、「医療は無償」を主張するはずの北朝鮮で医療費に悩む人々が増えているという。