バングラデシュ北部で日本人男性が何者かに銃撃を受け殺害された事件で、武装勢力「イスラム国」(IS)の関連組織を名乗るグループが3日、インターネット上で犯行声明を出した。信ぴょう性に不確かな部分は残るが、中東地域以外にあるイスラム国の関連組織が、いよいよ日本人を狙い始めた可能性が出てきた。

イスラム国は9月10日までに、英字のインターネット機関誌「ダビク」の最新号で、米国主導のIS掃討作戦に加わる「連合国」の一員として日本を名指しし、イラクやシリアでの戦闘に参加できない支持者に「日本の外交使節をボスニアやマレーシア、インドネシアで狙え」などと呼び掛けていた。

北朝鮮までが標的に

多くの日本人は、例えば捕虜を生きたまま閉じ込めた鉄製の檻をクレーンでプールに沈め、彼らが水中で溺死する様子を撮影したイスラム国の残虐動画を見ながらも、

それが自分の身に起こり得るなどとは想像もしていないだろう。

しかし、もはやイスラム国の脅威から、完全に逃れることのできる国や国民はないのかも知れない。日本のようなグローバル国家ならなおさらだ。

何しろ、世界から孤立していると思われている北朝鮮ですら、イスラム国と思しきグループに国民を拉致されているぐらいだ。

もっとも、北朝鮮はイスラム国の敵であるシリアに軍事援助を行っているほか、最高指導者の金正恩氏が、シリアのアサド大統領と誕生日に熱いメッセージを交換するほどの盟友関係にある。

イスラム国にとって見れば「狙って当然」の相手なのかもしれない。

東南アジアの「警戒情報」

ちなみに、インターネット上で一時、大口径の機関砲で人間を粉々に撃ち砕く残虐動画が出回り、「北朝鮮の幹部処刑場面では!?」と噂されたことがあったが、検証してみるとイスラム国による捕虜の処刑シーンだった。

第三者からは、イスラム国も金正恩政権も同じに見えているということだろうか。

ともあれ、これから海外へ頻繁に行く人などは、現地でのイスラム国関連のニュースを把握しておく必要があるだろう。

日本人にとって身近な東南アジアやオーストラリアでも、イスラム国の関連組織は活動している。そうした実態については日本の公安機関もレポートにまとめており、必要に応じてチェックすることをお勧めする。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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