しかし、2013年12月に張氏が無慈悲に処刑されたことにより、行政部は解体。業務を引き継ぐ目的で、労働党組織指導部(以下、組織指導部)に「7課」が新設。行政部の持っていた莫大な権限のうち、実務や行政的な役割のみを引き継いだ。
組織指導部が行政部を吸収した形だが、北朝鮮の組織機構的な視点からすれば、ある意味本来の姿に戻ったとも言える。
過去には、故金正日総書記も部長を務めた組織指導部は、絶大な権力を誇り、すべての党機関を統制していた。しかし、張氏が行政部長に就任してからは権限は、組織指導部から行政部へ移っていった。
金正恩氏を支える組織指導部と国家安全保衛部
行政部、すなわち張氏に権限が一極集中することを恐れた金正恩氏は、組織指導部と国家安全保衛部が結託して引き起こされたのが、「2013年張成沢処刑劇」の大まかな背景と言える。そして、張氏を処刑に追い込んだ3人が、金正恩体制の核心指導層として、今なお君臨している。