中朝犯罪組織による悪名高き犯罪の一つが「人身売買」だ。
中国には、北朝鮮の生活苦から逃れるため脱北した女性が多数潜伏しているが、中国の人身売買組織と北朝鮮国内のブローカー、さらに北朝鮮軍人がグルになって、若い女性を中国の河北省や黒竜江省などに売り飛ばしている。
なかには、17歳で人身売買の被害にあった脱北女性もいるが、この女性によると、「まだまだ幼い北朝鮮の女性たちが中国で人身売買の被害にあっている」という。
筆者が中朝国境を取材で訪れた時、ある朝鮮族の男性から次のような言葉を聞いたことがある。
「以前は、食べられない北朝鮮住民が命がけで中国に渡ってきたことから、可哀想で助けたもんだ。同じ民族だからね。でも、悪いことをするヤツらが増えた。今では、中国の犯罪組織とグルになって中国のイメージを悪くしている厄介者だ」
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。