彼女たちのサービスぶりにも、年々変化が起きている。かつては、周りの目を気にしてか、外国人客からの「チップ」を受け取ろうとしなかったが、今では優しい微笑みとともに、自然に受け取るようになった。
こうした動きは海外だけなく、国内にも波及しつつあるようだ。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙の朝鮮新報(電子版)は、平壌ホテルのカフェで働くバリスタを紹介している。
美女ビジネスのほとんどは、北朝鮮当局の企画によるものだが、トンジュといわれる新興富裕層は、新手のビジネスを展開しつつある。
そのビジネスとは「美女洗車サービス」だ。北朝鮮でも、増えつつあるマイカー族をターゲットにした洗車サービスは数年前から広がっていた。これに目を付けたトンジュが洗車ビジネスに参入しはじめたが、差別化を図るため、若い20代美女による丁寧な手洗い洗車サービスを開始。これが人気を呼んでいるという。
女性を利用したビジネスゆえに道義的な批判もあるだろう。しかし、こうしたサービス業で活躍する女性たちが、意外と北朝鮮ビジネスの起爆剤になるかもしれない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。