北朝鮮では、すべての国民が等しく職業を持つことが建前となっている。ところが、「不当解雇」というありえない事態が発生したと平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

デイリーNKジャパン編集部が入手した北朝鮮製のパン
デイリーNKジャパン編集部が入手した北朝鮮製のパン

不当解雇されたのは、高級菓子やケーキを作る民間のパン工場で働く15歳の女性従業員だ。

労働条件に不満を抱いた従業員たちは、この15歳の女性職員を代表にして「技術労働者の月給を上げろ」「夜間労働には手当を出せ」と要求。しかし、この女性職員だけが、解雇されてしまう。

実は、従業員たちは「まさか15歳の女の子をクビにすることはしないだろう」と思い、彼女を代表にしたが、その読みが裏目に出てしまった。従業員たちは申し訳なさそうにしているという。

こうした工場は、2000年代初頭から現れた。

当初は民家の納屋を改造するなどして、従業員を一人か二人雇う小規模なものだったが、徐々に規模が拡大し、多くの従業員を雇うまでになった。雇われるのは、主に10代や20代の女性だ。手先が器用で、パン焼き器の高熱も気にせず、育児や家事にとらわれないからだ。

こうした民間企業は、経営者のさじ加減で給料が決まるものの、実際の物価に合った給料がもらえることが魅力だ。反面、国営企業ではコメ1キロ分にも満たない給料さえも支払われないケースもある。

しかし、事実上の民間企業ゆえに、経営はオーナーの独断で行われる。従業員の意見は無視される傾向が強く、不満を言うと今回のケースのように簡単に解雇されてしまう。もちろん、組合もないため、理不尽な目に遭っても訴えることすらできない。

今回の不当解雇事件について、住民達からは「我が国(北朝鮮)が、あれほど嫌っている資本家による搾取が起きている。結局、国が食わせてくれないから、民間企業に頼らざるをえない」国を非難する声が上がっている。

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