屋台や露店が「不衛生で、美観上よくない」という理由で禁止されたり規制されることは、どこの国でもありがちなことだ。しかし、北朝鮮では、より暴力的な形で規制されることから露天商、そして利用する住民からも不評を買っている。
「職場の道沿いでアイスクリーム、かき氷、飲み物を売っていた露店もなくなった。ひまわりの種、豆腐、野菜、タバコを売っていた老人たちも姿を消してしまった。不便で仕方ない」(情報筋)
当局の理不尽な取り締まりに対して、露店商の老人たちは集団で「なんてひどいことをするんだ!」などと保安員に抗議。なかには、「口では『人民愛』とか言っていたが、ついに本性を現した」と金正恩氏を露骨に非難する声も上がっているという。
今回の取り締まりは、露天商だけでなく、保安員たちも少なからず打撃を受けるだろう。露天商からのワイロは貴重な収入源だからだ。それでけなく、暴力的な取り締まりによって、後々住民から恨みを買うだろう。
結局、こうした取り締まり強化は、軋轢を生み出すだけであり、保安員と住民のどちらにとってもメリットはない。せいぜい金正恩氏が、「町がハイカラになって、カッコよくなった!」と喜ぶぐらいだろう。