人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

現在、朝鮮半島をめぐる情勢は静中動だ。

6カ国協議をはじめとし、各国間の「対話プログラム」が中止されている。国家間の相互作用がない。アメリカも韓国も中国も、6カ国協議再開のためのモメンタムをなかなか作り出せないでいる。

このような状況でも、北朝鮮は動いているようだ。第2次核実験やら大陸間弾道ミサイル(ICBM)やらと騷ぎ立てて、誰かが(正確にはアメリカが)いつか止めてくれるのを待ちながら、崖っぷちに向かって走っている。

だが、それよりも忙しく動いているのは北朝鮮の内部のようだ。2012年に強盛大国の侮Dをかけることを目標に、仰々しく振舞っている。北朝鮮政府が「150日戦闘」に入ったという情報は正確なものと思われる。住宅の建設を含めて、いわゆる「経済大国」に向かうために忙しく動いているのだ。

ところで、150日戦闘にはもう1つの重要な意味が隠されているようだ。1974年以後、金正日が3大革命塑造運動と「70日戦闘」によって、自分だけの権力基盤を作った事例を思い返せば、「150日戦闘」は金正日が後継者を念頭に置いて、あらかじめ金正雲(キム・ジョンウン)の基盤を作ってやろうとしているのではないかとも思われる。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

もしその予想が当たっていたら、今北朝鮮の権力の内部では、後継問題で私たちの想像を越えて何かが速く進んでいるということになる。そうであればそうした推論の延長線で、第2次核実験など、瀬戸際に立った対外的な行動を予想より早くとる可能性もある。

金正日が脳の病気を患った後、北朝鮮が外部の世界と相互作用する方法は「即刻の対応」だった。大きな戦略や、そうした戦略に見られる鈍重な恐怖感が交じった影はちらつかない。「我々はやると言ったらやる」といった、水準が低い戦術を見せてくれている。どれだけせっぱつまればアメリカの女性記者を2人、人質にとるだろうか。開城工団のユ氏の問題も、だれが見てもユ氏が客観的に見て誤ちを犯していたら、そして彼らに本当に容疑を立証する自信があったら、弁護人の接見を許容することができない理由はないはずだ。

今、金正日は対外的に緊張を高めざるを得ないだろう。対外的な緊張を高めれば、アメリカと正面から向き合おうという「伝統的なシグナル」を送ることができ、またそうやって周辺国の関心を「北の対外緊張モード」に集中させておけば、金正日式に言うならば「敵が今、我々が何をしているのか分からないようにできる」からだ。言い換えれば、対外的な緊張を高めることには、内部の動きを把握することができないように撹乱させるための、陽動戦術の側面がある。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

北朝鮮の権力内部の動向の核心は、金正日の後継問題だ。北から聞こえてくる情報や諜報、消息、うわさの中には、金正雲を指していると思われる「新星将軍の活躍の姿」が少なからずある。「新星将軍が軍の綱紀の確立を主導している」という消息もそうした類のものだ。

さらに「忠誠の党細胞」を中心に、将軍様(金正日氏)に「後継者を早く立てなければならない」という請願の手紙をお送りするようにという党中央委員会(中央党)の指示が下ったという消息は衝撃的だ。それは、今金正日が3代世襲と後継問題で速度戦をしているということを意味するとまず解釈されるからだ。忠誠ある党員たちにとって3代世襲を正当化することは、水面下にあった後継問題を事実上、党の次元で水面上に引き上げることに違いないからだ。

したがって、今韓国やアメリカ、中国政府が関心を集中させなければならないことは、どうせ崖っぷちに行くほかない朝鮮半島の軍事的緊張の高まりという問題ではなく、北朝鮮の権力内部の問題だろう。後継問題がどのような方向に進んでいるのか、それが権力内部に及ぼす影響は何か、もし金正雲に後継の重心が傾いたら波長が広がるのか、または広がらないのかということから、中長期的に3代世襲が果してどの程度の体制耐久力を持つことになるのかなどを総合的に分析する作業に入らなければならないだろう。09年 北朝鮮5つの核心観察ポイント

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

こうした状況の中、李明博政府の対北強硬策のために南北関係が梗塞しているという話が出ているが、それは本当に何も分かっていない「北盲」の水準と違わない。また、南北関係を梗塞させた当事者は、金剛山で女性観光客を背後から銃撃したのに始まり、長距離ロケットを発射して女性記者2人とユ氏を抑留した北朝鮮政府であって、韓国ではない。したがって、李明博政府の対北強硬策のために南北関係が梗塞したという主張はファクト(fact)から間違っている。

更に最近、北朝鮮のもう1つの変化も注目される。対南工作部署を労働党から国防委員会に移管して「偵察総局」に改編したという消息である。北朝鮮では「総」の字を付けたら、「党、軍、政にあるあらゆる関係業務をすべて集めた部署」ということになる。金正日の護衛に関するあらゆる業務を集めた「護衛総局」がその例としてあげられる。

もしそうであれば、人民軍偵察局も国防委員会に新設された「偵察総局」に統廃合されたはずだ。そしてこの業務を、金正日と一緒に北朝鮮軍の現代化の基礎を作ったオ・クンニョルが引き受けたという。今回の北朝鮮の対南工作機関の改編で、北朝鮮がKAL機爆破(35号室)やミサイルの密輸出(作戦部)など、テロ・拉致・密輸業務を担ってきた労働党の部署を、国防委員会が一括して管掌するようにしたのは、後継問題とも間接的に係わっていると考えなければならないだろう。

また金正日は、張成沢(チャン・ソンテク, 国防委員)、チェ・イッギュ(党宣伝部長)、オ・クンニョル(国防委員)など長い間腹心として仕えてきて、「血縁」とも言える人たちを戦陣に配置した。金正日はこの人たちは決して自分を裏切らないと信じているだろう。これまた後継問題と関係があると思うべきだろうし、またこうした一連の作業は、金正日が脳の病気を患った後に現われた一連の変化である。

総合的に見ると、最近になって金正日はかなり急いているようだ。また、2012年に安定した後継体制に入るために、総体的な国家の力を集中させていると感じられる。

こうした状況の中、私たちがすべきことは第一に、対北政策と関連して内部で分裂せずに、アメリカや中国、日本との協力関係を広く構築することである。特に、外交安保関連の事案を含めて、中国との協力関係を拡大しなければならない。国内では北朝鮮に関する小さな成果にこだわっていてはいけない。過去の政権で、対北成果主義のために不必要な南南葛藤や対北政策の非効率性があらわになった。

対北政策は小さな成果にすがらずに、文字通り虎視牛歩の姿勢で、つまり虎の目で遠く、正確に見ながら牛歩で行くべきだ。そうすれば過ちを減らして効率的に進むことができる。特に、今の時期は「虎視」の姿勢が非常に重要で、場合によってはかなり大きな一歩を踏み出さなければならない時期だ。

こうした土台の上で、政府は北朝鮮が対話の場(国際会談や南北会談)に出るように強く促す一方、今後対北政策で必要になることをきちんと準備しておかなければならないだろう。再び強調するが、青瓦台や統一部、外交部は成果主義の誘惑を捨てなければならない。