北朝鮮で、韓流ドラマの拡散が止まらない。いくら北朝鮮当局が取り締まりをしても、若者たちを中心に楽しまれている韓流は、完全に北朝鮮社会に定着したと言っても過言ではない。

平安南道(ピョンアンナムド)在住の内部情報筋は「取締が厳しくなっても韓国で放送された翌日か、翌々日にはUSBに記録されて密輸業者を通じて北朝鮮国内に持ち込まれる。すると3日も経たずに全国に広がる」と韓流人気とその拡散の早さを伝える。

ところで、北朝鮮で人気を集める韓流ドラマはなんだろうか。

「最近では、『未生~ミセン~』『応答せよ1994』が人気だ。未生は、企業内での人間模様を描いたドラマだが、韓国人の日常生活が描かれていることが人気の理由だ」(情報筋)

「応答せよ1994」は、20年前の韓国と現在を行き来しつつ大学生たちの恋愛や友情をユーモラスに描いた青春ロマンスだ。

「20年前の韓国を知らない北朝鮮住民は共感できないのではという予想と裏腹に『以前の韓国がどんな感じだったかわかって面白い』と人気を集めている」(情報筋)

一方、戦争や愛国心を描いたプロパガンダ色がある韓流映画やドラマは人気がない。韓国人の普通の日常が描かれた作品がウケるという。リアリティ番組の人気が高いのも、そのような理由だが、人気作品としてあげたのが、シニア世代の俳優たちがパックパック片手に世界中を旅する「花よりじいさん」や田舎暮らしのグルメバラエティ「三食ごはん」だ。

「花よりじいさん」には案内役のイ・ソジンを除けば若いタレントは出演しない。しかし、国内移動すら難しい北朝鮮住民からすれば、夢のような番組で、「しんどい日常をつかの間、忘れられる」と評判だ。ちなみに、この番組で訪れたのはフランス、スイス、台湾、スペイン、ギリシャ、アラブ首長国連邦だ。

「三食ごはん」は、都会育ちのタレントが田舎で畑を耕したり魚を撮ったりして料理を作るバラエティ。「韓国人がどんなものを食べているのか知りたい」というシンプルな理由で人気を呼ぶ。

これらの番組は、CJエンタテインメント系列のケーブルテレビ局「TVN」が制作したものだが、TVN以外にも数多くのチャンネル、制作会社が多くの番組を制作している。

韓国には、KBS、MBC、SBSの地上波3大ネットワーク、JTBCなど4つの総合編成チャンネル(地上波に匹敵する規模だが、ケーブルテレビや衛星放送でのみ放送する局)に加えて、100以上のケーブルテレビチャンネルがあり、ドラマ、バラエティ、音楽を放送するチャンネルだけでも70ほどだ。

放送局すべてがドラマやバラエティを制作しているわけではないが、クオリティもコンテンツ供給能力は膨大で、朝鮮中央テレビには勝ち目はない。

違法コンテンツにもかかわらず、普通に韓流ドラマを視聴する北朝鮮住民。その理由について情報筋は次のように答えた。

「ごはんを食べている人に『なんでごはんを食べるのか』と尋ねるようなものだ」(情報筋)

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