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最近、韓国では「内助の女王」というドラマが人気を博している。文化放送の月火10時に放送されている「内助の女王」は、同じ時間帯では最高の視聴率を記録し、ストーリーも話題を呼んでいる。

韓国一の大学、ソウル大学の医大生だったが、社会での生活がうまくいかず落ちこぼれになってしまったオン・ダルス(オ・ジホ)と、偶然大手企業に入社できた夫オン・ダルスの成功のために、あらゆる屈辱や苦労を耐える主人公である妻、チョン・ジエ(キム・ナムジュ)の話を見ていると、今日も市場のあちらこちらを走りまわっている北朝鮮版「内助の女王」が思い浮かぶ。

北朝鮮の女性像は時代や階層によって様々だ。

時代別に見ると、90年代半ばの食糧難の時期の前は、家庭生活や社会での生活を完璧にこなすスーパーウーマンが理想の女性だった。

北朝鮮では1946年7月30日に「男女平等権法令」が制定されて、各分野への女性の進出が著しく増えた。既婚女性の家事や育児の負担を減らすために様々な制度も整えられた。象徴的な措置として、北朝鮮の各主権機関で女性の割合が増え、都市はもちろん、農村にまで託児所が設けられた。

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しかし、北朝鮮当局の思惑とは異なり、多くの女性は有能で力のある男性と結婚し、妻として内助に励み、子育ても立派に行う専業主婦を夢見ていた。そのため、若い女性にとって配偶者の決定は人生最大の重要な選択の一つになっていた。これは90年代以後も変わりない。

優れた配偶者に出会うと、結婚後に仕事をするとしても、楽で副収入が増える職場に勤めることができる。北朝鮮の女性は皆、所属している職場や居住地の女性連盟で組織生活を行うという共通点があるが、そこでも夫の地位や能力によって、職場での生活や組織での生活で待遇が違ってくる。

90年代以後、北朝鮮の経済難がさらに悪化し、住民の生活も一層苦しくなった。もちろん、社会的な雰囲気も変わった。いわゆる「苦難の行軍」の時代を経て、既婚女性の意識が一変した。当時、女性の間ではこうした言葉が流行ったという。

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「共和国で一番賢くないのは職場に行く女性、その次は家で家畜の世話をする女性、最も賢い女性は商売をする人だ」

北朝鮮の家父長的な社会雰囲気の根底には、出身に基づいた差別意識がある。上の命令に従う組織生活文化や、軍隊風のシステムが入り混じっている封建主義そのものだ。こうした封建主義的な社会は、食料や労働力を中央が統制することで維持されている。90年代の北朝鮮の計画経済(配給制)の崩壊で、半世紀も続いてきた北朝鮮の家父長的な社会が一気に崩れた。

配給で保障されていた男性の役割と権限が崩壊すると、既婚女性にあった内助という概念も否定されるようになった。北朝鮮の歌「女性は花だよね」のように、家庭や職場で女性の特殊性を強要された「妻」や「母」が、家族の生計を立てるために生活戦線で戦うことになった。

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昔から北朝鮮の男性は、かわいくて男性の言うことに文句を言わず従う女性が最もよい妻だと思っていた。しかし90年代以後は、出世することができる女性や、家族の生計に責任を持っている女性が配偶者として人気がある。ドラマ「内助の女王」のチョン・ジエのような女性が妻として人気があるということだ。

現在、北朝鮮の女性の内助の功には階層別にかなりの違いがある。

党や軍、行政分野の幹部や外貨稼ぎ企業所の人のように、国家から様々なメリットが与えられる男性の妻は、夫が無事に出世できるように手伝うことが最善のことだと考えている。以前は家事や子育てさえちゃんとできればよかったが、今は状況が変わった。

今、北朝鮮の幹部が最も気をつけなければならないことが2つある。不正にかかわることと浮気だ。00年代以後、北朝鮮の幹部の紀綱が崩れ、道徳観念も希薄になり、女性問題で解任されるケースが増えた。

90年代以前は、幹部が女性問題を起こすと処罰されたり、深刻な場合、党から追い出されるか解任されることもあった。このように国家の統制が強かった時は、幹部の妻もこうした問題で頭を悩ますことが少なかった。しかし、今は社会の雰囲気が乱れてしまい、幹部の不正も増えた。「検閲」にかかってばれてしまうと、自分だけではなく、家族全員が地獄に落ちてしまう。

そのため、夫が過ちを起こさないように妻もよく考えて助けなければならない。夫の浮気を防ぐことも、夫婦間の倫理や信頼を守るレベルを超えて、家族の存亡に直結する問題になってしまったからだ。

99年に、平安北道の軽工業工場の初級党書記が解任された事件が例の1つとしてあげられる。

その工場は労働者が数千人いて、そのうち70%が女性という2級企業所だった。「入党してから結婚する」と心を決めて、歳をとっても結婚もせず、一生懸命仕事にはげむ未婚の女性が多かった。この初級党書記はそのような女性たちを「入党を推薦してあげる」と口説いて、党書記の部屋で頻繁に性的な行為を強要したという。それが発覚してその党書記は解任された。

こうしたケースが全国で頻繁に起きたため、幹部の妻は夫の過ちを防ぐために夫の職場に一緒に出勤するようになった。夫の権限で職場である程度の地位についたが、出勤の理由は夫が職場の女性と関係を持つことを防ぐためだった。

03年に平安北道のある軍需工場に、工場の床屋に出勤して、工場の中で起きているすべての状況にいちいち口を出したり、夫の行動をチェックしていた組織書記の妻がいた。北朝鮮では、組織書記の直属の上司が初級党書記である。当時、労働者の間では「うちの工場には初級党書記が2人いる」とささやかれていたという。(続く)