北朝鮮の水産業者は、中国などに水産物を輸出し外貨を稼ぎだすが、現場では、違法である「韓国ラジオ」を視聴する。その詳しい理由を、平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

北朝鮮漁民が、韓国ラジオを聞くのは「北朝鮮の天気予報は信じられない」という単純明快な理由だ。波の高さも台風情報も北朝鮮の天気予報は誤報が多く、漁船の遭難につながる、つまり信用に値しない。

実際、平安北道の安州(アンジュ)市水産管理委員会の委員長が昨年、北朝鮮の天気予報を信じて漁に出たところ、予報になかった台風に遭遇して、往来。遭難死亡事故が起きた。

北朝鮮漁民にとって「北の天気予報を信じたら死あるのみ」で、韓国ラジオはまさに「大切な命綱」なのだ。

北朝鮮の漁業現場では、漁船船長には密輸された小型ラジオが手渡され、韓国のラジオを聞くように勧められる。船長や船員は、韓国のKBS第1ラジオで放送される「気象通報」を聞き、航路の波の高さ、悪天候を必ず確かめる。

韓国ラジオの視聴は、もちろん違法だが、外貨稼ぎ用の魚を取っている漁船は軍や保衛部の所属で、金正恩氏の上納する「忠誠の資金」の調達に欠かせないということもあり、事実上野放し状態だ。

気象通報を聞くという名目で黙認されている韓国ラジオの聴取だが、他の番組が耳に入ってくるのは言うまでもない。気象通報はKBS第1ラジオで午前4時42分と午前5時55分の2回放送されているが、いずれもその後にニュース番組が放送されている。

北朝鮮は、韓国の各放送局に対して強力な妨害電波を発信してきたが、昨今の電力難で発信できないことが増え、クリアに聞こえるようになったと言われている。

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