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絶大な権力を誇る北朝鮮の保安員(警察官)は、庶民をいびってワイロをまきあげるなど「オイシい仕事」と思われがちだ。ところか、最近になって退職者が続出。その理由と背景を咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

最近、清津(チョンジン)鉄道保安署監察課の指導員や保安員など複数の職員が、様々な言い訳を並び立てて保安署を退職、外貨稼ぎ機関へ転職した。保安員が集まりさえすれば「安全な職場に転職しなければ」「(将来のことを考えて)あまりひどいことはするな」という話で持ちきりだという。

背景には、金正恩時代になって以後、住民の反発が高まっていることがある。とりわけ、保安員に対する住民たちの感情は最悪で、通りがかっただけで指を差され、「むかつく!」と罵られる始末だ。

さらに、住民からの恨みを買って、悪徳保安員や保衛指導員が襲撃される「報復事件」が全国各地で頻発している。

清津では、浦港(ポハン)区域の保安署の署長が帰宅しようと自転車に乗っていたところ、何者かに襲われ、後頭部を殴打され殺害される事件が起きた。

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羅先(ラソン)では、人民委員会の正門前を通りかかった中年男性が、外貨稼ぎ業者たちに囲まれ、「ここで会ったが百年目!」「死ぬまで税関で務めてりゃこんな目には遭わなかったのにな」と罵られながら暴行されただけえなく、衣服をすべて剥ぎとられて人通りの多い交差点に晒される事件が起きた。

被害者は、北朝鮮では警察扱いの税関の元職員で、通関時に貿易業者をいじめることで悪名高かった。

さらに、金策(キムチェク)市や会寧(フェリョン)市でも、悪徳保衛指導員が刺殺される事件が起きている。いずれの事件も、被害者が恨みをかって報復されたことが明らかになっている。

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こうした事情から、保安員たちは、より安全で恨みを買うことも少なく、儲かる職種として人気上昇中の外貨稼ぎ機関に転職しようとしている。

自業自得とも言える保安員に対する報復事件。一方、保安員たちも、満足な給料をもらえず、庶民からまきあげるワイロが貴重な収入源にならざるをえないという惨めな状況にある。

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