こうした事情から、「使えない」存在となった労働党に入ろうとする人は急減。入党に必要なワイロ額も、かつての数百ドルからウサギ1匹にまで暴落した。庶民たちは「高級幹部になれないのだったら絶対に入党するな」「犬も喰わない党員証」などと入党する人々を鼻で笑っている。
一方、入党希望者の激減で頭を抱えているのは、党書記(工場・企業所や各種の機関内にある労働党支部のトップ)たちだ。入党希望者の減少は「将来の子分」の減少だからだ。党員の威信もすっかり暴落した今では、党書記自らが「トンム(“君”のようなニュアンス)も入党しないかい?」と勧誘して回る有様だという。
さらに、党書記は「副収入」を増やすために、商売で儲かっている党員を訪ねて「忙しくて党費を払いに行く暇もないだろう。私が立て替えておいたから『党費総和(総括)』をしたまえ」と露骨にワイロを要求するようになった。
平壌における労働党員の地位低下はさらに深刻だ。