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4月18日の両江道の恵山市。普段なら土曜日の人民班の生活教育と幹部の講演会で街が忙しくなる時間だ。キム・キョンホ道の党組織秘書をはじめ、両江道の実力者である幹部たちがみなソンE洞近くの線路に並んだ。

この日、「敬愛する最高司令官である金正日将軍様の3月4日の方針を貫徹するために線路周辺の住宅を整理する着工式典」が開かれた。しかし、金正日の方針を執行する幹部らの顔は曇りがちだった。最高幹部の演説が終わり、行事に動員された住民何人かが線路そばの古い農家1軒を壊すことで着工式典は終了した。それを見守っていた幹部や、動員された住民らは、みな心配そうな顔をしていた。引越す家もまだできていないのに、撤去が先に始ってしまったのだ。

3月4日に金正日が両江道の三池淵郡を現地指導したのが発端だった。 咸鏡北道・北青と恵山を繋ぐ道路で、三池淵に到着した金正日は線路のそばに汚く建っていた住宅を見て口を開いた。

「線路の周辺がなぜこんなに汚いんだ!今年中に線路沿いの汚い住宅を全部整理しろ!」

金正日が「線路周辺を都市美観に会わせてきれいにするのは国の顔をきれいに手入れする重大な事業だ」と話したという。北朝鮮で金正日の言葉は全ての法律や制度を超える「神の言葉」であり、彼のいくつかの言葉に「3.4方針」というタイトルがつけられ、両江道地域幹部に伝達された。

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北朝鮮は都市の中心を横たわる線路の周辺に、何の安全措置も設けていない。「線路周辺の50メートル以内」に一般の住宅をはじめ、公共の建物を建てはいけないという規定はあるが、すでにそれは誰も守るものもいない、死文化された法律となっている。

住民から見ると、線路周辺は駅に近い便利な地域だ。もちろん列車が運行されている時間は非常に危険だが、実際の運行回数が1日1,2本しかないため、危険なのは一瞬だ。

線路は道路に比べ直線なため、通勤時や市場への買い物の時間を短縮してくれる。舗装された道路があまりない北朝鮮では雨や雪が降った場合、線路の枕木を踏んで行き来するに便利だ。特に、両江道と咸鏡北道の国境都市では 鴨緑江と豆満江と並んで線路ができているため、中国との密輸に有利に使われる。

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線路周辺の住宅問題は2000年代初頭から出退勤の便利さや、商売に有利な場所を望む住民たちによる競争で、一部の幹部が賄賂もらって住宅建設の許可を与えたことから始る。今北朝鮮の中小都市には線路からわずか10メートルも離れていないところノ住宅が並んで建てられている。

両江道の内部消息筋は23日にデイリーNKとの電話インタビューでこの日のイベントの様子を伝えながら、「今年は線路周辺の住宅工事で終りそうだ。これから極めて多数の人々が家から追い出されるだろう」と話した。

同消息筋は「恵山市の場合、線路から50メートル以内の住宅だけ取り壊したとしても数百世帯が移住しなければならない。政府が新しい家を約束するといっているが、都市の外郭部にも土地がない。このため住民の反発が少なくないだろう」と話した。

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「新しい家を建てる」というのは具体的に何を意味しているのか、という記者の質問に対し、消息筋は「このような移住事業の場合、みなが適当に家を作ってしまう。そのため、資材を配って本人自らが家を建てたほうがいい」と話した。

恵山市内の線路周辺の住宅には、部屋を一つ借りて勉強する兵役を終えた軍人大学生家庭が多い。線路周辺の人民班は毎日のように会議を開き、移住世帯を選ぶ作業をしているが、大声で罵り合い、殴りあいも起こったりするなど、円滑な合意は難しいという。

恵山市の党は、従業員の数により各工場、企業所に新しい住宅建設を強制的に割り当てた。北朝鮮当局が供給する資材は新しい住宅1軒当たりオンドルを作るセメント300キロが全てだ。そのほかの資材と運送手段はみな、工場や企業所が揃えなければならない。

新しい住宅建設と関連して、線路の周辺に住んでいない住民にも影響が及ぼしている。恵山市の住民たちは1世帯当たりトピ(泥にわら交ぜて乾かしたレンガ)を500個作らなければならない。工場ごとにもうガソリン竓e種資材を確保するため米2キロもしない労働者の給料の半分を徴収している。

同消息筋は「1992年にも恵山鉱山に配置された兵役を終えた軍人のために1千世帯に及ぶ住宅を建てたが、3年もしない内に半分以上が家をすてた。三池淵郡のポテ里やでホンダン郡に建てた住宅も見た目はきれいに見えるが、みな適当に作ったため、今も兵役を終えた人たちが苦労しながら、住んでいる」と説明した。