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市場の小さな売台(テナント)での商売から出発し、新興富裕層にまで成り上がった北朝鮮のトンジュ(金主)たち。彼らはいま、裏通りにある市場から抜けだして、廃業した国営商店を買い取り大通り沿いで堂々と商売を始めている。そのために駆使されているのが「不動産転がし」の裏ワザである。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が、その詳細を伝えてきた。

道の人民委員会(道庁)の商業管理所に属している国営商店は町内に3つから5つほどある。本来なら、様々な商品を国定価格で販売することになっているが、国営の工場の稼働が止まったため、売り物がなく開店休業状態だったり、閉店したりしている店が多い。

人民委員会は、内部で「商店の数を減らすべきだ」との声が上がったことを受け、建物の所有権を商業管理所から都市経営課や建物補修事務所に移管した。

そして都市経営課は、廃業した国営の八百屋の建物を軍を除隊した将校に住宅として割り当てた。何十年も軍隊生活を送った彼らは家を持っておらず、除隊後しばらくは借家暮らしをせざるを得ないため、住宅を優先的に割り当ててもらえるのだ。

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ところが彼らの多くは、商業用物件を住宅に改造するためのリフォーム費用を工面できない。そこに目をつけたのがトンジュだった。

元国営商店の建物は市場や駅前など一等地にあるため、金儲けにはもってこいの物件だ。トンジュは素早く除隊軍人から建物を譲り受け、卸売り業の店舗としてオープンさせた。

このような元国営商店の建物は、三分割して10坪2000ドルで売りに出されるのが相場だ。立地が良ければ3000ドル以上になる場合もある。田舎の一軒家が2000ドル以下で取引されていることを考えると、かなりいい値段だ。

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それでも、道の人民委員会の幹部にワイロを渡して建物を買うよりは、除隊軍人から買ったほうが安くつく。除隊軍人は受け取ったカネで郊外の安い家を買ったり、生活費にしたりする。

土地建物の所有権は国にあり売買はできないが、運営権の売買はできるようになっているため、このような方式が可能なのだ。この方式は、現在中国で行われている土地建物の取引と同様であると思われる。北朝鮮の市場経済は、着実に歩みを進めている。