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去年の10月9日に北朝鮮は電撃的に地下核実験を断行した。国際社会は北朝鮮の挑発に驚愕し、国連は迅速に制裁を推進した。しかし、間もなくベルリンでアメリカと北朝鮮が会談し、BDAに凍結された北朝鮮資金の解除について合意して、エネルギー支援も約束した。更に、6ヶ国協議が再開されて、2・13合意が発表された。

アメリカのブッシュ政権は北朝鮮が核実験を実施した後、逆説的に金正日体制を保障して、対北宥和政策へと政策の転換を試みている。

アメリカが北の体制を保障する方向に進み、中国と韓国政府も北朝鮮体制の維持のために、忙しく動いている。対北強硬策を駆使したアメリカまで北朝鮮の体制を支援したら、相当の期間、金正日体制は安全に存続すると見なければならないだろう。

しかし、北朝鮮の人権状況の改善を望んできた当事者として、こうした政局の変化は望ましく感じられない。北朝鮮の核問題の解決のための対話の試みも失敗という経験を積んでいる。核実験を契機に核を抑え込む代償にアメリカが金正日の体制の保障に向おうとしているのは非常に残念だ。

金正日体制が存続する限り、北朝鮮の人権改善は容易ではなく、人権の惨劇をしばらくそのまま見守るということはとても苦痛である。

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金正日政権下でも収容所の解体の可能性を追求すべき

筆者は数年前、忘れることができない論争をした。この論争は筆者が属する‘北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会’の内部であった。北朝鮮の強制収容所に関することだったが、筆者は収容所がなくなるのは金正日体制が沒落したら可能だという一種の正論に対して、激しく反論した。

筆者のこうした見解は、収容所は今すぐにでも直ちに無くさなければならないというその残忍非道な実態に根拠していた。

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北朝鮮の政治犯収容所は金正日体制の変化に積極的でない人も認めることができないと思うほど残酷だ。したがって、金正日体制がなくならなくても、極端な人権蹂躪の場所である収容所の閉鎖だけは、内外の世論を通じて可能であると、私は当初から考えた。

この論争以来数年が経った。収容所は相変らず存在している。金正日体制が崩壊すれば北朝鮮の人権問題を根本的に解決することができることは確かだ。ブッシュ政権が乗り出し、筆者も時間が経つにつれ、こうした流れに対する期待を高く持つようになった。

筆者がこの間、ブッシュ政権の対北政策に期待を持ったことは、悪の枢軸発言からも分かるように、ブッシュ大統領が北朝鮮の本質を見抜いて、政策を推進していると感じたからだ。金正日体制の崩壊の環境を造成するのに、多くの関心と期待を持った。

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しかし、ブッシュ政権の対北政策は最近になって後退し始めた。金正日体制に対して強硬戦略を駆使した、ネオコンの力が排除され始め、体制の問題以前に、核の拡散を阻むクリントン政権時代の政策に後退している。

アメリカの政策が宥和政策に変わり、体制崩壊をもたらすことができる外部的環境は遠のいている。筆者はこうした現実を前に、数年前のように、金正日の体制如何を問わず、政治犯収容所を解体することについて、再び考えるようになった。

上で筆者が、金正日体制が存続する間も政治犯収容所の解体が可能だと明らかにした条件のうち、一つ目は何らの変化もない。政治犯収容所では相変らず人間が想像し難い人権染躪が行われている。

アメリカの政策に対する過信から、自らの政治犯収容所の解体に向けた運動が結果的に消極的になった感は否めない。
私は毎回国際会議で一貫して主張していたが。

体制崩壊が遠のいた以上、収容所の解体も遠くなったと思ってもよいだろうか。決してそうではない。今こそ強制収容所の解体を前面にそして全面に出す時だ。核の査擦とともに、収容所の査察を実現しなければならない。

私たちは政治犯収容所出身の姜哲煥・安赫共著の『北朝鮮脱出』(文春文庫 上下) を読み広げる運動を再開しなければならない。この本の中国語版も年内に製作するべきだ。耀徳ストーリーの日本公演も成功させなければならない。来年の北京オリンピックの前に、強制収容所問題を中国政府、韓国政府の前で取り上げて、正確な態度を表明するようにしなければならない。

私たちは収容所の警備兵出身、安明哲氏の証言を通じて分かるようになった完全統制区域の政治囚の運命に対して、再び考えてみなければならない。この間、こうした活動が不足していたことを痛く反省しなければならない。

北朝鮮の強制収容所問題は、なによりもまず、完全統制区域の政治囚の運命の問題だ。相変らず存在する五つないし六つの政治犯収容所は、全て完全統制区域であり、これらは相変らず血なまぐさい運命を変えることができない境遇にある。