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北朝鮮のヤミ経済でパワーを増している新興富裕層が、利権の奪い合いの過程でマフィア化し、互いに抗争や暗殺を繰り広げている。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が、北朝鮮国内の情報源の話として伝えたところによると、中朝国境に面した咸鏡北道恩徳(ウンドク)郡の貴洛(クィラク)里で19日、地元住民と流れ者の一団との間で大規模な乱闘があったという。情報源は次のように説明している。

「石が飛び交い、ツルハシやシャベルが凶器に使われた乱闘では3人が死に、数十人が負傷した。原因は、トンジュに雇われた流れ者たちが地元住民から石炭の採取場を奪おうとしたことだった」

主に高利貸しなどをして富を蓄えた「トンジュ(金主)」は、党や軍の幹部らをカネで抱き込み、北朝鮮社会の裏側でわがもの顔で振舞うようになっている。その一部が昨年来、咸鏡北道の石炭ビジネスに食指を伸ばしており、利権拡大をねらったグループが、地元住民の生計の柱となっている採取場まで強奪しにかかったというわけだ。

こうした抗争はトンジュのグループ同士でも繰り広げられており、北朝鮮の人々はそれを「基盤(縄張り)戦争」と呼んでいる。

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一方、RFAの別の情報源によると「6月16日には咸鏡北道の遠洋漁船事業所に所属する魚群探査隊の隊長が、何者かに惨殺される事件が起きた。国家安全保衛部や保衛司令部まで捜査に動員されているが、犯人はまだ捕まっていない」という。

ただ、咸鏡北道の司法当局は実際のところ、羅先(ラソン)市の大興(デフン)貿易会社の社長が「殺し屋」を雇い、魚群探査隊長を殺害させたと見ているとのこと。隊長が魚群データを大興貿易会社に提供しなかったことが、犯行の動機であると考えられているようだ。

それでも司法当局は、大興貿易会社の社長に手を出せずにいる。社長が党や軍の高位幹部と結びつき、その権勢によって守られているためだ。

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咸鏡北道ではこれ以外にも「殺し屋」によるものと思しき殺人事件が相次いでいるという。