英国の18歳の青年が平壌の金日成総合大学に短期留学した。同大学は、過去には中国、ロシアなどからの留学生は受け入れてきたことがあるが、西欧からの留学生を受け入れたのは今回が初めてだ。

西欧から初めて北朝鮮の金日成総合大学に留学したアレッサンドロ・フォードさんを紹介する英ガーディアン紙。
西欧から初めて北朝鮮の金日成総合大学に留学したアレッサンドロ・フォードさんを紹介する英ガーディアン紙。

英ガーディアン紙によると、平壌に留学したのはアレッサンドロ・フォードさん。昨年、高校を卒業し、今年9月にブリストル大学哲学科に入学する予定だ。

彼はギャップイヤー(高校卒業後から大学入学までの間に社会活動やバイトをする習慣)の昨年8月から12月までの4ヶ月間、朝鮮語を学ぶために北朝鮮の最高学府、金日成総合大学に留学した。費用は学費、寮費、食費を合わせて4000ポンド(約77万円)だった。

父親は英労働党選出の元欧州議会議員であるグリン・フォード氏で、外交使節団の一員として、何度か北朝鮮を訪れたことがある。

アレッサンドロさんが、ギャップイヤーに何をしようかと考えていたところ、父は冗談で言った。

「まだ決めてないんだったら、お前を北朝鮮に送りつけるぞ」

この言葉がきっかけで、枯れは徐々に北朝鮮に興味をもつようになった。また、15歳の時には北朝鮮に2週間滞在した経験もあったことから、彼は「北朝鮮への留学」に踏み切った。

金日成総合大学に在学中、クラスメートの多くは高級官僚、労働党、軍の幹部を親に持つ特権階級の子弟・子女たちだった。中には駐英北朝鮮大使館で勤務する父親とともにロンドンで暮らしたことのある学生もいた。しかし、地方出身の学生は少なかったという。

留学期間中、彼は北朝鮮の学生とともに学生寮で暮らした。寮はシンプルながらも快適だったが、トイレは和式で、シャワーはなく他の学生とともにサウナで汗を流したという。

キャンパスでは、言葉の壁はあったが、英語が話せる学生を介して他の学生と自由に交流することができた。

いろんなことについて語り明かしたが、北朝鮮の学生たちは、常に北朝鮮の見方からモノを言うと語るアレッサンドロさんは言う。

「彼らが洗脳されているとは思わないが、自分たちの言っていることを本当に信じているようだった。米国のせいで我が国は貧しくなっているだとか」

また、アレッサンドロさんがヒップ・ホッポミュージシャンのエミネムの曲を聞いていると、クラスメートにこう言われたという。

「どうして自分のことやセックス、麻薬のことしか歌わないの?家族や国のことを歌わなきゃならないんじゃないの?」

彼は北朝鮮の学生を清教徒に例えた。潔癖で生真面目ということだ。北朝鮮の学生たちは恋人もいなければ、キスを見たことすらないそうだ。

また、北朝鮮の人々は、個人主義というものが理解できず、西洋式の「一人になりたい」という気持ちも理解できないようだったと語り、時には息が詰まりそうになったという。

それでも「他の人にも北朝鮮訪問を勧めたい」と語る彼。「より多くの人が北朝鮮を訪問することで、国の開放を助けて、北朝鮮で起きている人権侵害も防げるだろうから」とその理由を説明した。

これは西欧で定着している「レスポンシブル・ツーリズム」(責任ある観光)という考え方に基づいた批判に対応したものだ。北朝鮮などの独裁体制の国を訪れることに対しては「独裁体制に経済的利益を与えて助けることにつながる」と批判される。

一方で、外国人が訪れて現地の人と交流することで、外部の情報を与えて人々の考え方を変え、スモールビジネスを発展させることが独裁体制の崩壊につながるとして、「国営の店では物を買わないなど、消費のしかたに気をつけるのなら、むしろ訪れた方がいい」とする考え方もある。

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