北朝鮮の市場統制政策は体制の安定を図ろうとする指導部にとっては必然的な選択だが、住民と地域の官僚の反発が出るため限界があるという分析が出た。
韓国・サムャ東o済研究所のイム・スホ首席研究委員は14日に、平和財団(理事長:法倫僧侶)が主催した第30回専門家フォーラムで、「北朝鮮当局としては体制が不安定になることを防ぐために市場を統制しなければならない。市場を統制する場合、裏市場ができてしまい、税金収入が減るのはもちろん、住民の不満も高まりかねない。北朝鮮はそうしたジレンマに悩まされている」と主張した。
イム首席研究委員は「北朝鮮の体制と市場統制の強化」というテーマ発表で、「今北朝鮮は市場統制のために動かなければならない地域官僚や下部の官僚が住民と結託しているため、市場統制でも頭を抱えている。『非社会主義グループの検閲』など、中央検閲を強化しても北朝鮮の全国をカバーすることは事実上不可能だ」と話した。
90年代に経済難が深刻になり、農民市場が都市まで広まり、02年の「7.1経済計画措置」で05年から全国の主要都市に合法的な総合常設市場ができた。
配給が中断され、国際社会から支援してもらった食糧が軍部と幹部層に集中してしまったことで、住民の多くは市場で商売をしたり、日常の生活品を購入する「市場経済」に合流することとなった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面イム首席研究委員は「市場が拡散して北朝鮮の体制が不安定になり、北朝鮮当局は05年後半から市場を統制し始めた」と説明した。それについて、▲05年に市場での食糧の取引を禁止し、国の食糧配給制度の復活を試みた、▲06年に17歳以上の男性の商売を禁止し、個人の雇用を禁止した、▲07年に40歳未満の女性の商売を禁止した、▲08年に常設市場を閉鎖して農民市場(10日市場:10日に1回できる市場)を復活させたことなどを挙げた。
また、「市場ができて所得を得られるようになると、住民の忠誠心は中央ではなく市場に向うので、水平的に分散してしまう。96年に金正日が住民の市場活動を『無政府状態』と表現したのは、こうした状況を想定したからだ」と強調した。
さらに、「下部の幹部も市場と利害関係を持つようになるため、『下からの忠誠心』が弱まる。だが、住民と下部の幹部の間の、市場の維持と拡散に関するネットワークが活性化するだろう」と分析した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「朝鮮半島の緊張・危機と北朝鮮の住民の暮らしと希望」について発表した(社)良き友のイ・スンヨン事務局長は、「北朝鮮の住民にとっては、08年から『第2の苦難の行軍』が始まったも同様」と説明した。
また、「食糧難で住民の苦しみが増し、生計のために犯罪を犯すケースも増えている。例えば、▲生計が苦しくて住民が組織を離脱する、▲社会動員の参加率が低迷する、▲自己批判や政治思想会の参加者の数が低迷する、▲兵士の士気が低下するなどだ」と説明した。
さらに、「党と国家機関、幹部に対する住民の不満が増えている。住民は軍事力の強化や体制維持だけに没頭している政府の政策を批判している。特に『市場の統制』など、不適切な公権力に反発している」と強調した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面イ事務局長は最近の南北関係が北朝鮮の住民に及ぼす影響について、「北朝鮮は南北の対決を利用し、直面している経済難や食糧難の責任から逃れようとしている。中央の幹部の多くは住民が生活に不満を持っている理由は、国の安保について知らないからだと認識している」と指摘した。
また、「朝鮮半島が緊張する中で北朝鮮の住民の苦痛にまで目が届いていない。経済難、食糧難だけではなく北朝鮮当局の社会統制がさらに強化されている。また、政治思想教育も絶えず続いている。これも住民の苦痛をさらに深刻にさせる要因だ」と話した。
特に、「北朝鮮の住民は韓国で李明博政権が発足して以来、南北関係が冷え込んだことについて懸念している」と主張し、韓国政府により積極的な対北食糧支援を求めた。
この日パネリストとして参加した統一研究院のイム・カンテク先任研究委員は、「南北関係が梗塞し、北朝鮮の中国に対する経済依存度が一層国「化する可能性が高まった。北朝鮮の住民は市場で物資の供給が円滑に行われないため、経済的に困窮するだろう」と予想した。