教化所に来る前に拘留場にいた時、私は女性たちの強姦を見た。
病院から拘留場に帰って来た後も、母や親戚が差し入れてくれた食べ物を一つも受け取ることができなかった。拘留場にいる罪人に食べ物を差し入れるためには、警護員たちにタバコを1つずつ握らせてやらなければならなかったが、母には高価なタバコを買うお金がなかったのだ。
戒護員たちはタバコやお酒を差し入れる人の食べ物だけわたしてくれて、残りは自分たちが全部食べるか仕事を手伝う収監者たちにやった。力がある人たちは拘留場でも家から差し入れられたご飯を食べたが、私のような一般の収監者はいつもひもじさに苦しまなければならなかった。
汚らしく食べ物に小細工をする監獄は、この世の中で朝鮮(北朝鮮)にしかないだろう。人間中心の社会と口先だけで騷ぎ、拘留場の幹部たちが行うけだもののような仕打ちは、本当に忌々しい。
チョルミンという21歳の警護員は、気分がよくない時はいつも、罪人たちに口を開けさせて、そこに痰をペット吐きかけた。こうしたことが何回も繰り返され、怒った罪人たちが裁判を受ける時に予審員に抗議してつばを吐くことは無くなったが、そんなことをしたら棍棒で一層ひどく殴られた。
私が拘留場にいた時、警護責任者が3号監房にいた32歳の女性を強姦した。事実を口にすれば一生教化所で腐らせると脅して、ある女性の人格を悪質に破壊した。生活が大変でお金を稼ぐために中国に行って捕まったこの女性は、後でこの事件のことが亭主にばれて、離婚されて居所が分からなくなったそうだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面拘留場で行われる幹部たちの悪事は、常識ある普通の人には見当もつかないだろう。
警護員のソンヒョクは監房から悪臭が出ると、手洗場の氷水を汲んで官房の中にぶちまけた。暖房も無い真冬だったので、一日中松のように震えていなければならなかった。
収監者一人が過ちを犯せば、監房全体の人に罰を与えるのも代表的な悪事だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面警護員たちは収監者を鉄窓にぶら下げ、鉄窓から離れた人を棒で殴りもした。12人が人の上に人がぶら下がるようにからみ合っている姿を見ながら、くすくすと笑うその人間たちの黄色い歯を見ると、山犬が思い出された。
拘留場の便器からはいつも悪臭がした。便器の下にある水路は警護員たちが使う手洗場の水タンクの蛇口をひねれば水が流れたが、警護員たちは面倒だと言って日に1度しか水を出さず、収監者たちが大便をすることも嫌がった。
そのため、警護員たちに報告しないでこっそりと大便をして殴られる人や、便秘で苦労する人も出た。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面拘留場の官房の中には便器の上に小さな換気窓があったが、時折そこにぶら下がって、1人が3回吸ったら下で見張っていた人が3回吸うというふうに、12人が交替でこっそりとタバコを吸った。
タバコは警護員たちが暖炉の横で吸った後捨てた吸穀を拾ってきた。そのやり方も絶妙だった。私は毛布の糸を抜いて細くよじって、長さが5mくらいの紐を作った。
そして母が作ってくれた靴下を脱いで、一方の端を紐に結んで狭い配食口の穴から腕を伸ばして、暖炉の横に投げた。他の人は警護員が監房の鉄門の中に入って来るのを見張った。
そうやって靴下を投げて紐を引っぱれば、吸殻も一緒についてきた。この方法をそばの監房の人たちが見ていて、まねをし始めた。監房ごとに靴下などが動員されて競い合い、暖炉の横に落ちた吸殻を獲得するための戦闘が起こった。
だが、しっぽが長ければやはりつかまるものだ。結局、6号監房の人たちが吸殻釣りをしていた時に警護員に見付かってしまった。その晩、6号監房の人たちは床に汗が一杯たまるほど罰を受けて、ひどく殴られた。
朝鮮の拘留場で行われている人権蹂躙の惨状を世の中に告発しようとしてもきりがない。警護員たちは家族が送ってくれた食べ物を暖炉の横に集めておいて、足でとんとんと蹴って鉄窓の配食口の前に押しやった。
そして、配膳の時間にその食べ物をお汁の容器に全部注いで、しゃくしでかき混ぜて豚のえさのようにして収監者たちに与えた。多分、自分の家で犬を飼っていたら犬にもそうしなかったはずだ。
警護員たちは気分がよくない時は、配食口からお椀を差し出す人の顔に熱いお汁を注いでやけどをさせた。
収監者たちを殴るくぬぎの棒にくぎを打ち込んで、人を屍のようにもした。こうした蛮行は、人間が知っているどんな懲罰を加えても許してもらえないだろう。
以前、裁判の時に弁護士という人は、「若いから刑期を短縮することを建議します」とただ一言だけ言った。それでも私は嬉しかった。拘留場の幹部たちは、私は教化刑を最低10年は受けるだろうと言っていたからだ。判事が7年と宣告した時、私は密かに万歳を叫んだ。