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ミサイル発射と核実験で全世界の耳目が北朝鮮に集中した2006年が去り、新年を迎えた今、北朝鮮の住民たちの民心はどこに向いているのだろうか?

デイリーNKは2回にわたり、北朝鮮の核実験と対北制裁、続く経済難の中で一日一日を堪えている北朝鮮の住民たちの生活をのぞいて見ることにした。

北朝鮮は2000年代に入り、韓国と国際社会の援助によって年平均2%代のプラスの経済成長を記録し、‘苦難の行軍’の時期に比べて安定した兆しを見せている。

しかし、94年を前後に破綻した食糧配給は、13年経っても回復できていない。この期間に、数百万人の餓死者を発生させた‘苦難の行軍’は、逆説的であるが、北朝鮮の住民たちの、配給なしで生き残る生存能力を育てた。

2006年にも例年と同様、北朝鮮の住民は生存のための辛い生活を続けている。大都市を含めて、北朝鮮全域の大多数の人々が、総合市場を中心に、商売に関わって暮らしている。女性だけが商売するという話は古語になった。

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中国の丹東に滞在している北朝鮮の00貿易会社社長、キム・ミョングク(仮名)さんは、“平壌、新義州、咸興、南浦、清津を含めた北朝鮮の大都市では、大規模な総合市場を通じて、活発なおろし売りと小売りが成り立っている”と話し、ここには“米、水産物、家具類、各種電気製品、軽工業製品、各種の薬草など、ないものがない” と伝えた。

金さんによれば、“都市部の人々は大部分商売に依存している。動くことができる人々は皆、商売をしようと思っていると考えれば良い。売台のない人々はリアカーで荷物を運送する仕事を多くしている。女性は家で服を加工し、手芸品を作って一日一日を暮らしている”と伝えた。

北朝鮮住民の大多数、商売で生計を立てる

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また、“海辺の漁師たちは各種の水産物を売って食べつないでいる。海岸の住民たちは毎年、4月から10月まで、西海岸と東海岸の一部の地域で潮干狩りに行く。貝が生計に随分助けになる”と言った。

総合市場での北朝鮮の住民たちの個人商売は、ここ数年間で一層拡大するであろう。総合市場は北朝鮮の住民の重要な生業の基盤となった。

北朝鮮の民心は安い価格によって上り下りする。市場の価格が更に下がれば民心は少し安定するが、価格が上がれば民心は鋭くなり、悪化する。

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北朝鮮の住民の40%ほどは、米飯を食べている。残りの30%、40%は雑穀と米をまぜて食べ、残りはトウモロコシで食べつないでいる。

北朝鮮内部の消息筋によると、現在北朝鮮住民の30%が、月平均所得5万ウォン(約16ドル)以下で暮らしている。このような数値は飢餓状態からは脱しているが、お腹一杯食べることは難しいということを意味する。数日仕事をしなければ、今日の生活の糧がなくなる。豚肉は相変らず特別な日にだけ食べられる。

このように、食べる問題に関して、状況が改善してきたことは事実である。人々が飢え死にした10年前に比べれば、極度に乱れて荒れていた民心も少し和らいだ。

“北朝鮮は野生動物が住む所”

今は飢えていないが、一日働いて一日暮らすという生活は、改善する気配がない。将来を考える余裕もない。子供の顔を眺めながら、 ‘この苦労を子供にまで譲らなければならないのか’とため息をつくと言う。それでも教育は受けさせなければならないと考え、気を引き締める。

電気や暖房も相変らずひどく乏しい。せっぱつまり、親戚訪問に来た朝鮮族が、野生動物が住む所だと言いながら、着ているコートまで脱いでくれた程である。

米の価格が上がれば、民心は怒りだす。来年には食糧難がひどくなるという予想のため、心配も多い。

泣き面に蜂で、秋が過ぎ、恵山で発生した‘しょう紅熱’が東海岸の主要都市にひろがった。

‘しょう紅熱’が発生した地域の学校には休校令が下り、一般の人たちの旅行制限がいまだに解除されていない。荷物を背負った商人たちの鉄道での移動が制限され、市場の物価が急騰した。この地域の住民はもちろん、市場の商人たちまで生活が困難だと騒ぐほどであったという。

北朝鮮政権は核実験を成功させた2006年を、5千年の歴史の中で最も‘輝く日’であり、先軍政治の‘勝利の日’であったとし、講演や会議を通じて、体制宣伝を強化している。しかし、大多数の北朝鮮の住民は、一日一日が生存のための戦いであり、そのように考える暇がないと言う。

北朝鮮の特権層は核兵器を喜んでいるが、一般の住民たちは”核兵器が私たちを食べさせてくれるのか””ご飯(米飯)一杯でも食膳にあげてくれるのか”と、まったく関心がない。強盛大国や先軍政治という、騷騷しい政治の掛け声は、住民たちの口からはとっくに消えた。

内部消息筋は、北朝鮮の住民たちが”テレビをつけさえすれば将軍様で、先軍政治と騷いで頭が痛い”という反応であると伝えた。北朝鮮の住民の口から一番多く出る言葉はやはり、’商売’と’お金’である。

北朝鮮指導部に対する住民たちの反感は非常に強い。金正日に対しては、年長の人たちは周りの機嫌をうかがって何も言わないが、青少年期に食糧難を経験した20代、30代は、金正日に対する反感を露骨に現わす。

“太鼓腹になって、現地指導も大変そうだ”


平壌の若者は、金正日を’あいつ’と盛んに呼び、咸鏡道では金正日について聞けば’犬’または’灰’と呼ぶ。北朝鮮を脱出した女性病院長は、”金正日は浮気してお酒を飲むばかりで、何かしたことがあるのかしら”とも言った。

咸鏡道では、家族や親しい人たちが集まる席では、”将軍様は太鼓腹になって現地指導も大変だろう”と皮肉ったりする。

軍隊と保安員(警察)の権威も大きく失墜した。人民の誇りだった人民軍は、住民の財産を掠奪する集団という認識が広まり、保安員は住民たちからわいろをとる集団という烙印を押された。

住民は”保安員は日帝時代の巡査とまったく同じだ”と言う。政権機関に対する住民たちの不信は既に度を超えた。

道ばたで保安員と胸ぐらを掴んで争う光景はよく見られる。過去には想像し難かった光景である。脱北者も、このような場面を報告すると、”本当に随分変わった”と言う。

北朝鮮の青少年たちは、気のあった同士群がって歩きまわり、外国のVCDを見ることが趣味となっている。韓国のドラマも人気だ。VCDを見ながら”下の南韓の人々は本当にいい暮らしをしている”、”先進国は違う”という言葉をよく口にする。こうした番組の俳優では、ベ・ヨンジュンやチャン・ドンゴン、キム・ヒャ唐などが人気が高い。

年長の人たちは、ご飯だけでも食べることができれば故郷を去りたがらないが、若者は”あんな所で一度暮らしてみたい”と言う人が多い。外部の情報にもかなり触れた北朝鮮の住民たちの耳には、’地上の楽園’ といった言葉は入って来ない。

2007年の年始にも、北朝鮮の住民たちは生きるための死闘を繰り広げている。