脱北者がいる家庭は、北朝鮮当局から「特別監視対象」に指定され、女性同盟員や人民班の班長が監視を担当する。ただし、その家庭も自分たちが監視対象になっていることは重々承知。常に警戒して、なかなかしっぽをつかませない。
そこで、秘密警察は脱北者家庭を安心させるため、子どもまで動員しながら監視する手口を編み出したのだ。なかには、この手口を更に悪用して、個人的な恨みを晴らそうとする保衛部員もいるという。
「韓国で働く脱北者がいる家庭は、仕送りでそれなりに裕福な生活をしている。今の北朝鮮では、平壌や中央はともかく末端の国家機関員、もちろん保衛部といえでも『権力あってもカネはなし』という有様だ。裕福な家庭を逆恨みして、罪をかぶせるネタを探そうと子どもの友人を協力者に仕立てあげている」(内部情報筋)
しかし、秘密警察より脱北者家族の方が、一枚も二枚も上だ。