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北朝鮮は、世界でも数少ない社会主義計画経済を看板にしている国家の一つだが、その内実は事実上の市場主義経済だ。その北朝鮮経済を牽引するトンジュ(金主)と呼ばれる新興富裕層の資産が、平均10万ドルに達すると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

建築ラッシュの新義州市内。マンション群はトンジュの資金で建設が進められていると言われている。
建築ラッシュの新義州市内。マンション群はトンジュの資金で建設が進められていると言われている。

トンジュの多くは、2009年の「貨幣改革(デノミ)」の切り抜けた富裕層たちだ。デノミは、旧紙幣から新紙幣への交換にあたって一世帯あたり10万北朝鮮ウォン(当時のレートで30ドルほど)の上限額が設けられ、残りは強制的に銀行に預けなければならない「事実上の没収」だった。

北朝鮮ウォンで資産を蓄えていた住民は、財産のほとんどを失い大打撃を被った。一方、不動産を持っていた富裕層は、資産として活用して貨幣改革を乗り切り、現在のトンジュの基礎となった。彼らを大きく分けると2種類になる。

まず、党や軍の外貨稼ぎ会社を通じて、国有の所有物を売って財を成した人。次は、市場商売で儲けた人だ。その数や資産規模は不明だが、情報筋によると、平壌や新義州などの大都市のトンジュは車を3~4台を保有していることから「10万ドル(約1200万円)ぐらいの資産はあっても不思議ではない」という。

市場で商売する零細商人の場合、資産は1000元(約2万円)ほどで、1ヶ月の支出は300元(約6000円)だという。北朝鮮の水準からすれば、いかにトンジュが莫大な資産家であり、同時に極端な貧富の格差が極大化していることが見えてくる。

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貨幣改革で痛い目に逢ったトンジュたちは、北朝鮮ウォンで貯蓄はしない。もちろん、銀行に預けることもない。北朝鮮ウォンの信用がないこともあるが、資産を隠すという狙いもある。したたかなトンジュは経済に関しては北朝鮮当局をまったく信用しない。北朝鮮当局は特定の個人に富が集中することを警戒して、経済政策をあれこれ変えるからだ。

こうしたトンジュに対して経済を統制したい北朝鮮当局は、今後、どのような対策を講じるのだろうか。 韓国統一研究員のパク・ヒョンジュン選任研究員は次のように語った。

「北朝鮮当局は権力型のトンジュには、忠誠を誓わせながら便宜をはかる。しかし、市場型のトンジュに対しては、体制への忠誠心がないと見ており、今後も制限を加える可能性がある」

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