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北朝鮮では従来「お嫁さんにしたい女性年齢」のトップは23歳だった。23歳は「金の値打ち」、25歳は「銅の値打ち」。そして27歳になった女性は…「クズ鉄の値打ち」と言われていた。女性にとっては大変失礼であり、誤解を招く表現だが、リアルな北朝鮮文化を紹介するためにあえて記した。

ただし、それも過去の話。今の北朝鮮では女性の晩婚化が進んでいる。それだけではない。未婚男性の間で年上女性と、新興富裕層「トンジュ(金主)」のバツイチ女性が人気だという。

平壌市内を散策する女性(本文とは関係ありません) ©Matt Paish
平壌市内を散策する女性(本文とは関係ありません) ©Matt Paish

平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋は、デイリーNKに北朝鮮の「イマドキ婚活事情」について語った。

「最近、90年代と比べると結婚年齢や配偶者の選択など、結婚に対する考え方に大きな変化が生じた。男性の結婚年齢はそれほど変わらないが、女性の結婚年齢が20代前半から20後半と遅くなっている」

北朝鮮では兵役義務があることから、独身男性は除隊したら27歳。生活の安定を求めていそいそと婚活をはじめる。以前は、やはり可愛くて教師、医師、ホテルで働く23歳の未婚女性が「お嫁さん候補ナンバーワン」だった。

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ところが、今では離婚歴があってもお金を稼ぐ、つまり経済力と生活力を備えた女性が「お嫁さん候補ナンバーワン」だ。この背景には、北朝鮮で市場経済が進んでいるにもかかわらず、社会主義的企業形式が根強いことがある。

男性は、企業所といわれる会社に出勤しなければならないが、給料も配給もまともに出ない場合が多い。しかし、商売をすれば処罰されることもある。これではいつまで経っても生活は苦しいまま。

そんな理不尽な矛盾に立ち上がったのが、専業主婦(アズマイ)だった。

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専業主婦は、「市場」という戦場で朝鮮人民軍戦士さながらのたくましさで「生活闘争」を展開。当局の規制に対しては、抗日パルチザンのごとく立ち向かい、「遊撃隊式」に商売を広めた。

家計を助けるため、「市場」に飛び込まざるをえなかった若い未婚女性も、市場の荒波で鍛えられ、数年もすればいっぱしの「市場戦士」に生まれ変わる。

こうしたなか、相対的に男性の経済力は低下し、北朝鮮経済を支える原動力は、女性になってしまったというわけだ。とりわけ、市場の経済活動に積極的に参戦するトンジュ女性は、北朝鮮の婚活事情を大きく変化させてしまった。

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「結婚の幸せなんかよりお金が大事」とあえて独身を貫こうとする女性も増えているという。「自立的な経済力」を備えた未婚女性の大半が30歳以上だ。こうした変化のなかで、独身男性の婚活事情も自ずと変わっていく。

「かつて除隊軍人の独身男性は、親や近所の人が紹介してくれる綺麗で年齢が合った女性を選んで結婚していたが、最近ではマイホームを所有し、経済的基盤がある女性が望まれる。必然的に、年上女性やバツイチ女性に脚光が浴びるようになった」(内部情報筋)

市場で旺盛に商売をする女性にとっても、若くて丈夫な男性を夫にすれば、より有利に商売を展開できることから、年下男性との結婚に抵抗がない。また、家事をする夫も増えている。

北朝鮮で増える「姉さん女房(年下夫)」夫婦。北朝鮮では、ほんの10年前まで「離婚」や「男性の家事」は、世間から後ろ指を指されていたが、そうした見方は市場主義によって、すっかり古くさい考え方になってしまったようだ。

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