キム・ヒョンジョン通商交渉本部長は2日、韓米自由貿易協定交渉の妥結の直後に行った記者会見で、“開城工業団地問題は域外加工地域を指定することにアメリカが原則的に同意した”と明らかにした。開城工団の製品が韓国産と認められることができる最小限の根拠を用意したという意味だ。
付属合意には、後日構成される‘朝鮮半島域外加工地域委員会’が、開城工業団地を域外加工地域に定められるように、根拠条項が盛り込まれた。もちろん、アメリカが要求する内容を満たさなければならないという但書条項が付いている。
こうしたやり方は、アメリカの譲歩の可能性がかなり低い条件で、開城工業団地問題がディールブレーカーの役割(交渉を壊す役割)よりは、交渉の火種をいかしておく、いわゆるビルトイン(built−in)方式で両者が意見をそろえたものである。
アメリカはシンガポールやイスラエルとのFTAで、域外加工地域を認めたことがある。韓国もシンガポール、ヨーロッパ自由貿易連合(EFTA)、アセアン(ASEAN)とのFTAで、開城工業団地の製品に対して特恵関税を認められた。
合意文案の公開を通じて、具体的な部分が確認されるだろうが、これによれば開城工業団地の域外加工地域指定は、朝鮮半島の非核化の進展状況と勤労基準などの条件が付け加えられたと伝えられた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ここでの核心は朝鮮半島の非核化だ。朝鮮半島の非核化はアメリカが北朝鮮との交易を認めていない法律である、敵性国交易法などの解除をもたらすことになる。非核化が進展して米朝関係正常化が実現すれば、開城工業団地問題は自然に解決される。
しかし、朝鮮半島の非核化は短期間で解決される問題ではない。米朝修交もアメリカ当局者が明らかにしているように、北朝鮮が多方面で国際社会のルールを遵守する時に可能になる。開城工業団地が非核化と連動された場合、朝鮮半島の経済共同体という大きな絵の、長期的な下絵になると指摘されている。
また開城工業団地は、アメリカ政府が認める国際基準の労働関係が適用されていないという点も障害物だ。レフコウィッツ米国務省北朝鮮人権特使は、機会があるたびに開城工業団地の労働者たちの賃金の問題を取り上げてきた。国内でも北朝鮮の労働者の賃金が直接支給されず、雇用契約も個別の労働者を対象に行われていないという問題点が指摘されてきた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面盧武鉉大統領は韓米FTAを推進し、米を守って開城工業団地は得なければならないという交渉の原則を立てた。盧大統領が今回の交渉で政治的計算をしなかったという点は高く評価されるが、この二つだけは政治的計算が色濃く見られる。開城工業団地は対北包容政策の核心基盤を守り、支持勢力がFTA の主旨に同意するようにできる有力な手段だ。
したがって、政府が今後アメリカとどのような姿勢で対座するのかによって、状況は変わる可能性があるという予測も出ている。アメリカが北朝鮮を非核化に誘引する政策手段として使う可能性もある。