北朝鮮の日本向け放送「チョソンの声」は、5月31日の「世界禁煙デー」にあわせて北朝鮮での「禁煙活動」の取り組みを紹介した。

タバコを吸う金正恩氏/2013年12月28日付労働新聞
タバコを吸う金正恩氏/2013年12月28日付労働新聞

同放送は、世界保健機関(WHO)が2003年に採択した「タバコ規制枠組条約」を紹介。タバコ規制が世界的な範囲で行われており、北朝鮮も2005年4月に条約に加盟したと述べている。

放送では「禁煙活動を医療従事者はもちろん、連関部門の人たちもこれに加わり、社会あげてのこととして進めている」としている。しかし、本来、最高指導者として禁煙活動を率先すべきはずの金正恩氏は、喫煙しながら現地指導するケースが多い。その「金正恩氏の喫煙スタイル」は、労働新聞の1面にもよく掲載される。下の写真は、「江東精密機械工場」を現地指導する金正恩氏だ。

工場でタバコを吸う金正恩氏

精密工場で喫煙しながらの現地指導は、北朝鮮の消防法やタバコ統制法にも違反している。

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金正恩氏は、アルコールなどの揮発性物質を扱う化粧品製造工場でも喫煙スタイルを貫いている。

タバコを手に挟んで工場で現地指導する金正恩氏
タバコを手に挟んで工場で現地指導する金正恩氏/2015年2月5日付労働新聞より

「靴工場」を現地指導した時も、やっぱりタバコを指にはさんでいる。

リュウォン靴工場を現地指導する金正恩氏/2015年1月21日付労働新聞より
リュウォン靴工場を現地指導する金正恩氏/2015年1月21日付労働新聞より

その他、農場や魚の養殖場などでも喫煙するなど、金正恩氏には「喫煙」という概念が一切欠けているようだ。

「チョソンの声」は、北朝鮮国内では、2013年から3年連続で「タバコ規制関連各分野」の討論会が行われ「タバコの害毒に対する社会的認識」を高めていると紹介した。女性喫煙者は皆無で、学校教育と社会教育を強化して新しい世代の喫煙現象がほとんどないと断言している。

タバコを吸う軍人 ©Stephan
タバコを吸う軍人 ©Stephan

WHOは、今年の「世界喫煙デー」を前に、世界で消費されているタバコの10本に1本が密輸や偽造など不法取引によるものだと警告したが、北朝鮮は偽造タバコや密輸によって外貨を稼いでいる。

「チョソンの声」放送は、「今後もタバコ規制を強めて、すべての人が社会主義文明国の建設に尽くしていく」と力強い決意で最後を締めたが、金正恩氏の「喫煙スタイル」やタバコ事情を鑑みると、北朝鮮に「禁煙ブーム」が訪れるのは、まだまだ遠い先のようだ。

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