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ヒトラーを暗殺するために40回を越える暗殺計画があったが、なかでも最も反響があったワルキューレ事件が映画化された。主人公のシュタウフェンベルク大佐は、ヒトラーの狂気がドイツやヨーロッパを破滅させる前にそれを阻止する方法を探った。

大佐はドイツの最上階級の将校たちの秘密暗殺組織に参加する。終戦の1年前である1944年に、ヒトラーが非常時を想定してたてたワルキューレ作戦を逆に利用してヒトラーを暗殺し、ナチスの政権を転覆させる作戦が実行される。

歴史からも分かるように、映画「ワルキューレ」にははっきりとした結末が描かれていない。だが、映画を見ながら観客は想像力を発揮するはずだ。「爆弾がもう少しヒトラーに近かったら…」、「もう少し作戦が早く実行されていたら…」、「もうちょっと作戦に献身的だったら…」と惜しむかも知れない。

しかし、その想像力の前には何よりも、「あの時ヒトラーが死んでいたらよかったのに」という気持ちがあるだろう。もう少し早くヒトラーが死んでいたら、迎えられたかもしれないよい結末を想像しながら。

人類の歴史上、最も悪質と言われている独裁者は悲惨な最期を迎える。画一的にすべての権力が1人に集中する独裁に対し、人々はその独裁者の死をひたすら願っている。

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ルーマニアのニコラエ・チャウシェスクは市民の民主化デモが起ると、妻と一緒に逃げたが、結局捕まって現場で即決審判が行われ、死刑を言いわたされた。その5分後に機関銃で処刑されることになる。ユーゴスラヴィアのミロシェビッチは終身刑を言いわたされ、刑務所で死を迎えた。カンボジアのポル・ポトも2003年にタイの国境地帯のジャングルで静かに死を迎えた。

彼らはみな、悲惨な最期を迎えたが、それ以外にもう一つ共通点がある。彼らの死が自国民だけではなく、世界の人々に自由や安全をもたらしたことだ。

フセインが除去されたイラクの状況だけを見ても分かる。他民族を虐殺したり大量破壊兵器で世界の平和に危機をもたらす存在だったイラクでは、フセインが追い出された後4年ぶりに地方選挙が行われ、民主主義が根を下ろしつつある。

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北朝鮮もあまり違わないだろう。北朝鮮の住民に対する人権蹂躙や、核兵器を利用して世界を脅かす行為は金正日政権の本質をはっきりと見せてくれている。北朝鮮は金正日個人のために存在していると言っても過言ではない。金正日以外、誰も権力を握ることができない社会であるのはもちろん、金正日に対してはいかなる非難も許されない。

社会主義国家の基本組織と言える党の組織は、すでにその機狽?クっている。金正日が1973年に組織指導部を通じて権力を掌握し始めた時からすべての権限や決定権を自分に集中させた。

金正日の最も近い側近と言われている人々も数十年間の検証期間を経て、金正日に無条件に従う人だと実証された人たちだ。ナチス政権の時代のゲッぺルスやヒムラー、ゲーリングなどと同じだ。

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現在の北朝鮮にとって、金正日の死は北朝鮮の変化の決定的なきっかけになる。シュタウフェンベルク大佐がヒトラーのためではなく、祖国であるドイツのために行動するというシーンが思い浮かぶ。

金正日が追い出された後、北朝鮮の内部で起きうる混乱を心配している人もいるが、どうせ避けられない混乱ならば、金正日を一刻も早く政権から引きずりおろすことが住民の苦痛を減らすことにつながる。

金正日は自然に死ぬかもしれないし、暗殺の対象になるかもしれない。国際裁判の審判台に立つかもしれない。しかし、いずれにせよ金正日の死や暗殺が、北朝鮮の改革・開放や民主化の始発になることは間違いない。

個人の死が歴史の中で肯定的な役割を果たすということは本人にとっては悲劇だろう。だが、独裁者の死で人類の悲劇を止めることができるのであれば、それは苦しんでいる数百万、数千万の人々にとっては祝福だ。「ワルキューレ」は世界から独裁がなくなることを願っている人たちの願いを込めて制作した映画だ。

北朝鮮ではすでに、韓国の映画やドラマがVCOやDVDで広まっている。もしこうした方法でこの映画が北朝鮮に入り、北朝鮮の人々が見ることができたら、彼らは何を考えるだろうか。

映画の最後に、「彼らは歴史の前で恥ずかしくはない」というセリフが出る。失敗した作戦だったが、彼らの存在があっただけでも、ドイツの国民は歴史に対する良心の呵責が少し軽くなったのではないか。

北朝鮮の民主化のために努力している人たちがいる。その人たちの努力で、太陽政策で独裁と共存しようとしていた韓国の統治集団に対する、北朝鮮の住民の恨みや我々の良心の呵責が和らぐと思う。

金正日を暗殺するための北朝鮮国内の反体制グループの計画が映画化されたら、その結末は必ず「成功」になることを心から願っている。