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そんなある日、我々がチョン・チュンシルから冷凍魚を奪ってから半月ほど経った頃のことだった。軍団の傘下の各偵察部隊が集結した訓練場に、急に人民軍の総政治局、作戦局、保衛司令部、偵察局などの合同検閲団がやってきた。人民軍内の最高の検閲団だ。

合同検閲団は“何日の何時頃に、トンチョン-コャ投ヤの道路で訓練していた者は出なさい。すべて分かっているから、素直に自首しなさい”と言った。

私たちの部隊では、公式的には山岳機動訓練をしたことになっていたため、’ありえない事’と、頑として拒否した。もちろん、私の組も山岳行軍をして集結地に到着したことになっていた。また、魚を食べた我々小隊は、前もって皆、秘密を厳守することになっていたため、誰も知らないことだった。

検閲団は“南朝鮮軍の服を着て訓練をした者が、君たち以外にいるのか”と追究した。我々の部隊の指揮官らは、“その地域には他の旅団と806訓練所の部隊もある。どうして我々に対してそのようにするのか”と最後まで否認した。

ところで、何の手がかりもつかめずに帰っていく検閲団が話していた内容が、一層衝撃的だった。チョン・チュンシルはその日、目的地である慈江道のチョンチョン郡まで行く途中、あわせて3回にわたって魚を奪われ、結局手ぶらで帰ったというのだ。

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3回にわたる’討伐’ 結局、手ぶらで

最初に私たちに奪われて、次は元山-平壌高速道路でガソリン?Dおうとしていた軍人たちに遭遇したという。金剛山発電所の建設に動員された軍人たちが、夜半にトラック2台で高速道路を塞いでおり、チョン・チュンシルが引っかかったのだった。

3回目は平壌-チョンチョン区間の警備隊建設部隊の者たちに遭遇し、残りの魚をすっかり奪われたという。甚だしくは、冷凍車の濫?^イヤまで奪われたという。北朝鮮でチョン・チュンシルを知らない人はいないが、彼女の心情はいかばかりであったか。

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がらんとしたトラックをひいて到着したチョン・チュンシルは、直ちに労働党中央委員会に正式に訴えた。 “どうして、我々の人民軍がこういうことをするのですか”結局、検閲調査団がやってきて、該当の事件の首謀者と荷担者を捜索した。

金剛山発電所の建設部隊の者たちは、2台のトラックの番号を憶えていた冷凍トラックの運転手によって逮捕され、残りの者もすべて捕まえたという。我々の捜索だけが失敗したのだった。

この事件で、およそ10人以上の軍人が、軍事規律及び軍民関係毀損行為などで軍法にかけられて銃殺刑に処され、所属部隊の指揮官は、不名誉除隊または労働鍛練隊などで処罰されたという。

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あの晩、一緒に事件を起こした仲間が秘密を守ったため、我々の小隊は運良く不祥事を凾黷ス。

長い歳月が経った今も、私はあの時の事件が忘れられない。事件を起こした同僚たちは皆、元気でいるのか。どうしているのか。今になって語れるだけでも幸いである。