連載・日本の対北朝鮮情報力を検証する/外事警察編(1)

2015年3月26日の早朝、東京都杉並区。閑静な住宅街に位置する公園で行われるラジオ体操に、毎朝のように顔を見せる老人の姿はなかった。その代わり、近くの道路に警察が張った阻止線の外側から、テレビ局のレポーターたちが「歴史的な瞬間」を見逃すまいと、公園から目と鼻の先にある古い木造二階建ての一軒家を見つめていた。

そして数時間後、 外事警察は1955年に朝鮮総連が結成されて以来はじめて、総連議長の自宅への家宅捜索を行った。

しかしそれは、「総連を潰す時には軍事情報や先端科学技術に対するスパイ事件でやる」と常々口にしていた警察庁幹部の理想――すなわち外事警察の“王道”を裏切り、マツタケの不正輸入、それも議長とは直接関係のない所で行われた事件での「別件捜査」として行われたのである。