中東カタールの建設会社が、雇用した北朝鮮労働者192人の半数近くを解雇していたことが米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によって明らかにされた。

建設ブームに沸くカタールの首都、ドーハ ©Omar Chatriwala
建設ブームに沸くカタールの首都、ドーハ ©Omar Chatriwala

90人の北朝鮮の労働者を解雇したのは、カタール有数の建設企業「CDC(Construction Development Company)」。同社は北朝鮮から来た監督官が、労働者に1日12時間以上の労働を強いたり、安全の手順を無視するなど労働規定を守らなかったことを解雇の理由にしているが、VOAが入手したCDC社と駐カタール北朝鮮大使館関係者が行った会議の議事録から判明した。

議事録によると、CDC社が解雇した北朝鮮労働者は90人。福利厚生福祉などに責任があるべき監督官が、基本的な労働環境を遵守していなかった。重労働からはじまり、食事の量も基準に満たない。工事現場では、安全手順が守られず、その結果、労働者1人が死亡する労災事故が発生。CDC社は、北朝鮮の監督官に対して強い不満を表明している。

しかし、北朝鮮大使館の要請から、192人全員の解雇は行わず、90人のみに留めた。

飲酒、交通違反、窃盗摘発時には残りの労働者も即時解雇

CDC社は、労働環境の改善がなかったり、現場を離れて別の現場で働くなどの不正行為があった場合、即時解雇を北朝鮮側に通告した。不正行為のなかには、イスラム教国家のカタールで禁止されている飲酒、交通違反、資材の窃盗なども含まれている。

解雇された労働者90人は、一度出国しなければならないが、再入国し、別の企業で雇用されることには反対しないとの証明書(No Objecttion Certificate)を発行する予定だ。

北朝鮮の海外派遣労働者は国際的人権問題化

同社はカタールで政府庁舎、高級ホテルなどの建設を請け負い、1年の売上が3億ドルに達する中堅建設業者だ。すべての系列会社において国際的レベルの倫理規定を順守するように強調している。

カタールでは現在、約3000人の北朝鮮労働者が道路や高層ビルの建設に従事している。彼らは北朝鮮対外建設指導局傘下の首都建設、コンミョン建設、ナムガン建設、ジェンコ(Genco)所属だ。ナムガン建設の労働者はすべて軍人だ。

今回の件に限らず、北朝鮮は政府が賃金をピンはねしたり、労働関連法規が守らないことから、人権問題として国際的に批判されている。

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