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平安南道(ピョンアンナムド)から平壌を貫いて流れる長さ440キロの大河、大同江。かつて、北朝鮮の庶民にとっては「単なる大きい川」に過ぎなかったが、最近ではそこで取れる砂にビジネスチャンスを見出したトンジュ(金主)が資金を大々的に投資している。

平壌を流れる大同江 ©John Pavelka
平壌を流れる大同江 ©John Pavelka

職場放棄して砂採取現場で働く労働者たち

以前から平壌では、国営の「大同江事業所」が建設資材用の砂採取を続けてきたが、トンジュたちの砂ビジネス参入で「砂市場」がより活性化されることが期待されはじめた。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、建設現場に欠かせない砂が大同江でいくらでも取れることに気づいたトンジュたちが砂採取ビジネスに進出した。

川底の砂をかき集める作業は設備を積んだ船で行うが、すべてを機械でできるわけではなく、多くの労働力が必要になる。そこで、トンジュたちは国営工場、企業所で働く労働者たちに「うちで働かないか?」と声をかけてみたという。

すると、国営工場の給料だけではとても食べていけない労働者たちは、トンジュの誘いに応じて工場の仕事をほったらかしにして砂採取の現場で働くようになった。賃金は日給制で額は定かではないが、1ヶ月働けば家族を食べさせ、貯金してなお余剰が出るほどの給料が払われるという。

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「大同江で砂を採取すれば儲かる」との噂を聞きつけた他の労働者たちも次々に砂採取の現場で働くようになった。

労働者の数が数百人を超えたのに目をつけた商人は、市場から砂採取現場に店を移し、温飯(クッパ)、ピジ(おからのスープ)、お餅などを売るようになった。

現場で働いている労働者たちは「トンジュたちは、教科書でしか見たことのない『労働者を搾取する資本家』のようだが、こちらも儲かるのでとてもありがたい」と語っているという。

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