平城市の金正淑第一高等中学校(本文とは関係ありません)
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北朝鮮の学校教育で、金正恩氏の幼年期の偶像化教育がはじまりつつある。しかし、肝心の教材が曖昧過ぎて、現場の教師たちも困っていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

金一族を偶像化する「学習指導要領」

北朝鮮全国の初級中学校、高級中学校(日本の中学と高校に相当)で、「敬愛する金正恩元帥様の革命活動」の授業が新学期からはじまった。

教師たちは配布された「教授参考書」(学習指導要領)に従って授業を進めなければならないが、学生に配布する「教科書」の作成が間に合っていないという。

教育に関わる平安北道(ピョンアンブクト)の消息筋によると、「教授参考書」は1章から4章に分かれており、これに基づいて小学校は20コマ、中高は25コマの授業を行う。しかし、そもそも「出来事が年代順になっていない」と言いながら次のように語った。

「内容も抽象的で、古代神話のようだ」

金正日氏が薦める留学を正恩氏は断った?

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同じく教育関係者で、慈江道(チャガンド)の情報筋は、教科書で金正恩氏の生年月日や生い立ち、家庭環境などが全く触れられていないことで、逆に「正恩氏の出自」について生徒らの間で疑問が持ち上がる結果になっていると語る。

「生徒は『元帥様(金正恩氏)は、いつお生まれになってどのような道をお歩きになったんですか』と質問するが、教師たちはどう答えていいのかわからず困り果てている」(慈江道の教育関係者)

北朝鮮当局が、教育関係者に配布した「教授参考書」によると、金正恩氏は、金日成軍事総合大学入学前に父の金正日氏から「外国の軍事大学に留学するつもりはあるか」と尋ねられたという。

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これに対して正恩氏は、「私たち『万景台の家門』は事大主義とは縁遠いでしょう」と答えて留学しなかったとされている。

「白頭の血統(金日成一族)」は、「外国に頼る(事大主義)」ことはしない、すなわち金正恩氏は「自主独立の精神を持ち、それを貫こうとしている」と強調するための逸話と見られる。

母親の「大阪生まれ」がネックか

しかし、金正恩氏がスイスに留学したことは北朝鮮でも広く知られているエピソードだ。

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「(金正恩氏の)留学を知っている生徒たちは首を傾げながら、授業内容に疑問を持っている」(慈江道の教育関係者)

このように金正恩氏の「偶像化教育」が中途半端な内容になっているのは、日本からの帰国者である母親が「大阪生まれ」であることがネックになっている可能性がある。