北朝鮮で絶大な権力を持つ「朝鮮労働党」の幹部たち。なかには、権力に物を言わせて庶民を苦しめる「悪代官」のような幹部もいるが、在職中に恨みを買い、定年退職後にひどい目に遭わされることが増えているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

平壌のサッカースタジアムで保安員と揉める男性。周りの人々は指を指して保安員を非難している。(本文とは関係ありません)
平壌のサッカースタジアムで保安員と揉める男性。周りの人々は指を指して保安員を非難している。(本文とは関係ありません)

横暴な党幹部の振る舞い

労働党のある地方幹部が、娘の家庭教師としてアコーディオン専門の音楽教師を雇ったが、この教師が覚えの悪い娘に思わず、「なんでちゃんとできないの、このマヌケ!」と怒鳴ってしまった。

これに激怒した幹部は、家庭教師を解雇にしただけでなく、教師の職さえも奪い、教師は仕事を失い路頭に迷っているという。

ある、新任の労働党責任書記は、自宅の近所の製粉所の機械の音がうるさいという理由で、他の地域に強制移転させてしまった。しかし、製粉所でトウモロコシを挽いて麺を作り糊口をしのいでいた貧困層の人々や商売人は、移転で大打撃を受けた。

必ずしも全員がそうではないが、労働党幹部の横暴は枚挙にいとまがない。こうしたことが積もりに積もって、幻滅と怒りに震える庶民たちが、定年退職した党幹部に復讐することもある。

「お前、いつまで党幹部だと思ってるんだ!」

ある元労働党書記が、ひと風呂浴びようと「恩徳院(銭湯、理髪などを行うスパのような施設)」に行った時のこと。

この元書記は、受付の従業員に「湯船を俺に独占させろ!」と言い出したが、それを見た周りの人たちが、次々に元書記を囲んでなじりた。

「お前、いつまで党幹部だと思ってるんだ!」

「幹部の時は、ヨカッタなぁ」

「一般人民と同じ湯船に入りやがれ!」

情報筋は、元党幹部がその後どうなったかまでは明らかにしていないが、おそらくスゴスゴと退散しただろうという。

この幹部だけでなく、現職時代に横暴の限りを尽くした元党幹部たちは、庶民から完全にシカトされ、悪口を言われ、仕返しに耐えながら余生を送る場合もある。

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