ヨイド純福音教会での礼拝の様子
韓国最大の教会、ヨイド純福音教会での礼拝の様子

公共の電波で宣伝、国家並みの集金力

米中央情報局(CIA)のワールド・ファクトブックによると、韓国のプロテスタント信者の割合は24%を占めている。ちなみに仏教は24.2%、カトリックは7.6%、その他の宗教は0.9%、最も多いのは無宗教者の43.3%だ。

24%は多いとも少ないとも言えない数だが、韓国社会に与える影響力はその割合以上のものがある。人脈や財力など要因は様々だが、最も大きいのは独自のメディアを介した発信力だろう。

韓国在住歴の長い日本人ジャーナリストが話す。

「日本と異なり、公共の電波を使った宗教放送が法的に認められている韓国では、プロテスタント系のラジオの全国ネットワークがふたつも存在しています。テレビもケーブル局ではありますが、3つのチャンネルを擁している。

有力日刊紙のひとつである『国民日報』もプロテスタント系の純福音教会の牧師が会長を務めています。また統一教会も「世界日報」を所有している。いずれも韓国10大全国紙に入っており、それだけでも影響力の大きさが推し量れるでしょう」

また、キリスト教系企業の存在感も大きい。

「Who.A.U」や「Underwood」などのブランドで知られるアパレル企業、E-Landがその典型だ。2000年代に入ってからは小売業にも進出して巨大企業グループとなった。パク・ソンス会長が教会に寄付する献金の額は1年に130億ウォン(約14億3000万円)にのぼると言われている。

その影響力は政界にも及んでいる。象徴的なのが、クリスチャンである李明博前大統領だ。ソウル市長時代の2004年5月に開かれたキリスト教の行事で、「首都ソウルを神様に差し上げる」と発言したことが大問題になった。

最後に挙げておくべきは、信者数の多さに基づいたプロテスタント教団の資金の潤沢さだろう。それらの活動を資金面で支えているのが「十一租(シビルチョ)」と呼ばれる募金システムだ。日本語では十分の一税、什一税と呼ばれるが、収入の10分の1を教会に寄付するものだ。

人口の24%(約1200万人)が、安く見積もって1人あたり毎月20万ウォン(約2万2000円)ずつ募金するとすれば、毎月プロテスタント教団全体に入るお金の総額は2兆4000億ウォン(約2642億円)に達する。これは人口1000万のソウル市の2015年度の予算、22兆8427億ウォンが10ヶ月ほどで手に入るということだ。人口120万の水原(スウォン)市の予算(2兆878億ウォン)なら1ヶ月たらずの募金でまかなえてしまう。

日本国内に数十カ所の拠点

宣教を目的に海外に信者を数十人単位で送り込んだり、抗議活動のためにバスを数十台チャーターしたりするのは、ある程度の規模の教会なら朝飯前なのだ。もちろん、彼らは日本にもきている。

連載の2回目で見たように、韓国のキリスト教保守勢力の中には社会的な“トラブルのタネ”になっているものが少なからず存在する。 (【キリスト教保守と韓国社会-2-】統一教会だけじゃない!! こんなにある「お騒がせ教団」)

また、自分たちの教義を絶対視し、周囲にそれを押し付けようとする強引さは、それに反発する人々との間で激しい葛藤を巻き起こす。

その端的な例が、連載の1回目で見たホモフォビア(同性愛嫌悪)だ。(【キリスト教保守と韓国社会-1-】同性愛に対する激しい憎悪)

そして、統一教会が韓国流のホモフォビアを日本に持ち込んでいる事例にも見られる通り、韓国のキリスト教保守をめぐる様々な問題は、日本人にとっても対岸の火事ではないのだ。

韓国のある巨大福音派教会のひとつは、すでに日本国内に66もの教会を持っている。彼らはさらに、教会の「のれん分け」をしながら勢力を拡大中だ。

日本の人口に占めるキリスト教信者の割合は、プロテスタントとカトリックをわずか2%だ。韓国の教団からすれば、まだまだ「開拓」の余地のある「ブルーオーシャン」なのである。(おわり)

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