教会側は放送中止の仮処分をソウル地裁に申し立てたが、棄却される。

すると放送当日、教会側は約2000人の信徒を動員。局舎前で座り込んでMBCを非難する集会を行ったのだ。そのうち約300人は、局内にまで乱入して通路に座り込み、激しい抗議活動を繰り広げた。さらにその一部が、テレビ局の心臓部とも言えるメイン調整室に侵入。社員に暴力を振るい放送機器を破壊した。

「PD手帳」の放送は突然中断され、なぜか「動物の王国」へと切り替わった。しばらくしてから、緊急ニュースで信徒たちが局舎内に乱入したことが伝えられた。(当時のニュース映像、4:40~

この事件は韓国社会にとてつもない衝撃を与えた。万民中央教会は韓国社会全般はもちろん他のキリスト教団体からも激しく非難され、局舎で破壊行為を働いた者たちは法的な処罰を受けた。それでも、教会はMBCに対する非難を止めようとはしなかった。

ほかにも似たような例が数多くあり、いちいち挙げていてはきりが無いくらいだ。韓国国民も大多数はこうした風潮に辟易しているのだが、宗教がらみの騒動はいっこうになくなる気配がない。その理由は日本とは大きく異なる、韓国独特の事情がある。(つづく)

主な韓国キリスト教事件史
◯1987年8月29日 キリスト教系新興宗教の教祖が信者32人とともに集団自殺した「五大洋(オデヤン)」事件。「韓国の人民寺院事件」とも呼ばれる。救援派の兪炳彦氏の関与が長年取り沙汰されてきた。
◯1992年10月4日 エホバの証人の王国会館(教会)に、信者となった妻を取り返そうとしていた夫が放火、14人死亡。
◯1994年2月18日 新興宗教、似非宗教研究者の卓明煥(タク・ミョンファン)氏が自宅前で自身が問題を追求していたテソン教会の信者に暗殺される。
◯1988?1995年 仏教系大学の東国大学のキャンパス内の寺などが、6回にわたって放火される。犯人は捕まっていないが現場に十字架が描かれたことからクリスチャンによる犯行が疑われている。